旅とカメラと自転車と 

大学院生のゆるゆる冒険記録

day.151 ワイナポトシがくれたもの

  
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いよいよ今日は頂上登坂チャレンジ。

昨日の夜6時には就寝し、12時に起床、一時出発。

の予定が、、

 

下手に昼寝をしたせいで一睡もできませんでした。

こんばんはやしまるです。。。

強く生きよう。

 

 

11時過ぎには皆ゴソゴソし始め、ガイドにも緊張感が走る。

話を聞いたところ、15人程いる中で6000m以上に登った事があるのは一人だけ。

皆『初心者でも挑戦できる』と聞いて来たわけです。果たして登りきれるのか…!

 

慣れない装備をつけ、高山病に効くというコカティーをガブガブ飲んで、いざ出陣!!

空には爛々と星が輝き、黒い影が空高く立ち上がっています。あれがワイナポトシか……

 

凍った岩場30分程歩くと、雪渓が現れます。

ここでクランポンとアイスアックスを装備し、ここからはオール雪道の世界!

 
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雪の上をザクザクと踏みしめて進んで行く。

初めは何だか初めての感触に楽しかったんですが、そのうち飽きて、そして疲れる。

疲れるんですクランポンつけて歩くの!

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斜度に合わせて足の角度を変え、踏み込む力を変え、できるだけ体力を使わないようにするも、ゴリゴリと削られていき、、

 

星空を見上げる余裕もなくなり、いつのまにか下を向いていかにガイドと一緒の足運びをするかだけ考えるマシーンと化す。

 

そんな時、目の前に壁が現れた。

丘とか山とかそんなもんではなく、壁。

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迂回していくんだろうな〜と思ってたらガイドからはまさかの『ここを登るよ』宣言。

 

嘘でしょ……

前に登ったハーフドームを超える傾斜の雪壁。

しかしガイドのイルネオはスルスルと登っていき、『ほら!早く!』と急かしてくる。

パートナーのアランと顔を見合わせ、行くしかないか、、、と半ば諦めモードでクライミング開始。

 

練習の時はすんなり出来たけど、標高が上がり傾斜も増すとそうそう上手く登れません。体が上手く動かないのと、雪が硬くピッケルがなかなか刺さらない。そしてすぐ息が切れる。あたりも真っ暗。

 

軍人学校に通っているアランも流石に疲労が見え、二人でへばりつくようにして、なんとか壁をクリア。

 

しかし、次に待っていたのは恐怖の平均台コース』でした。

尾根線に出た僕らは、今度は幅50cmもない稜線を登らなくてはなりません。

右も左も真っ暗。底が見えない谷が広がっており、唯一見えるのは目の前だけ。

それに、周りに遮るものがなくなったため強風が吹き荒れる。

ハーネスを付けているとはいえ、ここで足を踏み外したらイリネオ、アランごと真っ逆さまに落ちるでしょう。

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なんて場所に来てしまったんだ……

若干後悔しながら、前へ進む。

平均台コースはなかなか長く、時間にして1時間くらいですが、精神的には何倍にも感じた。死とはこうも簡単に生に寄り添えるものなのだと思いました。

 

 

 

しかし、なんというか、僕らは強すぎた。

 

 

ここまで、他のグループが休憩していてもノンストップで登り続けて来た僕ら。息は切れるけど、方やラテンの強い足腰を持つ軍人。方や5ヶ月自転車をこぎ続けてきたチャリ族。

気づけば他のグループをどんどん抜かし、最後尾からトップに躍り出ていました。

 

そして、ガイドのイルネオはこの道15年のベテラン。コースを知り尽くしているし、登っている時も口笛吹きながら散歩でもするかのような足取り。

結果的にいうと、四時過ぎには頂上に着いてしまいました。因みに朝日が出るのは5時半。

 

まさかの1時間頂上待機。何が辛かったってめちゃくちゃ寒いんです!風は吹くし下は氷だしスペースは狭いし標高6000で空気も薄いし高山病で頭痛いし…

 

ガイドのイリネオも完全に やっちゃった…(๑╹ω╹๑ )って顔しながら、しばらく皆で抱き合って朝日を待ってました。寒い、本当に寒い。

男だとかもうそんなのは関係なく、とにかくお互いの体をいかにしてくっつけて暖をとるかに集中してました。

 

 

 

そしてようやく待ち焦がれた朝日が昇る。

下界は雲海になっていて、遠く遠くのほうからじわじわと暗闇にオレンジの光が広がっていく。

次第に、自分達が今いる場所の全貌が露わになっていきます。こんな切り立った所にいたんですね…

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はじめての雪山ガチ登山、6000m超え、そして実は初めてのご来光。

 
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感無量でした。

ここまできつい三日間だとは思わなかった。

正直1日目、2日目に雪の中登っていた時は本当に帰りたかった。

雪壁を登るときも、魔の平均台を通る時も、常に心臓がバクバク鳴って、命を燃やしている実感がありました。

そして最期の1時間待機。これが一番きつかった。マジで。動けないっていうのは雪山で最も辛い。

 
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しかし、このゴールをアラン、フンベルト、ガブリエルと一緒に迎えられたのはとても嬉しい事でした。誰も脱落せず、故障もなく登り切れたのは一重に日頃のトレーニングのお陰だと思う。頂上ではかつてない達成感と安心感を込めてハグをしました。彼らと一緒に登れたことを誇りに思います。

 
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登りにかかった時間とは裏腹に、頂上にいれるのはたった30分ほど。これ以上いると後ろから人が押し寄せてしまうので、早々に撤退。

 
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帰りの景色も凄かった。

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雲海と、それを突き破って天を目指す山々。

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空はほぼ紺色。もう宇宙がすぐそこにあるのを実感できます。

 
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視界が白と紺色とで埋め尽くされる。サングラスをしていないと目も開けられないような光の洪水の中にいました。

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帰りは完全に気が抜けて、僕はずっこけまくる。それを見てイルネオとブラジルトリオは大爆笑し、そして次には誰かがまたずっこける。

そしてそれを見て笑う。

 

ベースキャンプまでこれの繰り返しでした。

帰りの車は皆爆睡。昼過ぎにはラパスの喧騒が聴こえてきます。

 

3人には、別れる前に夢を聞きました。

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フンベルト『沢山の国を旅して、そして海の見える所に住みながら山のガイドをしたい』

アラン『家族や国、世界にとって大切な存在になりたい』

ガブリエル『彼女と結婚して、一緒に世界中を周りたい』

 

年も近くて、話も合う3人と一緒にこの二泊三日を過ごせて、本当に良かった。

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お互い言葉も違ければ文化も違う、そういう間でのコミュニケーションはお互いが互いに「知りたい」と思わなければ関係は成立しません。

日本人どうしだって分かり合えない人がいる中、お互いの優しさでカバーしあうのはとてもやりがいがあり、そして何より面白かった。

 

ぜひ、また会いたい。

そして、また冗談を言い合える関係であり続けたいです。

 

ワイナポトシがくれたもの、それは6000mを超えた、という単なる事実だけでなく登り切ることで培われた精神力、体力、そして友情でした。

あー楽しかった!!

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