飯とカメラとアウトドア 

家にいるとソワソワする。外に出ると家が恋しくなる。何をしていても落ち着かない、社会人のブログ。

day.177 宝石の道⑦ 遠い世界一

Quetena tico - Uturunku

 

いよいよ挑む時がやって来た。宝石の道に入って7日目、本日は『世界で最も標高の高い道』へ向かう。

 

最大標高5900mに到達するらしい。

前にワイナポトシを登った時は、5000mを超えた辺りから息がしんどくなり、足取りが一気に重くなった。あの高さに、今度は自転車で行けるというのは些か不安とワクワクの両方を感じます。

 
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朝は7時半にホテルを出発。

ほんとはもう少し早く出たかったのですが、昨日の夜貰った宇宙兄弟を読みすぎて夜更かししてしまい、結果寝坊。予定より30分遅れでのスタートとなりました。

 

朝の天気は良い感じ。

ウトゥルンクは雪を被った銀白色に輝いており、、、っていうか昨日より雪積もってる気がする。。

どうせ除雪とかは絶対してないだろう。

まぁ、行ける所まで行ってみようの精神で進もう…おっちゃんも行けるって言ってたし。

 

しかし、僕は完全に忘れていました。

雨季の今、雨が降って川が増水している可能性について…!

 

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街を出て初っ端で一回川を渡るんですが、

これが増水してとんでもない大川へと変化していたのです。

ななな、なんじゃこりゃーー!

渡れな…くはないけど、少なくとも自転車の担ぎ上げが必要。そして、深さと流れがあるので、場所を見極めないと恐らく自転車ごと流されます。

 
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この渡れるポイント探しに時間がかかり、街を出てから1キロ進むのに1時間半を要しました。水も雪解け水が混じっているのでかなり冷たく、膝まで浸かりながらようやく突破。

 
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そして渡った先にも…川が。

は?(´Д` )と思うかもしれませんが、僕もそう思った。渡った先にある道にも川から水が浸水して、第二の川が誕生しているのです。

もはや下半身ビショビショなので構わずゴリ押ししていくのですが、時間は刻一刻と無くなっていく。

 
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第一陣の川をようやく抜け、なんとか先を急ごうと向かうも、今度は深砂と泥で動けない。ぐぬぬぬ…となりますが、もうこの対自転車決戦道路に入ってから1週間。君には慣れた( ´_ゝ`)荷物は置いてきているので、むしろいつもより楽です。

 
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街から5キロほど走ると、こんな光景が。

 
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凄い、なんだか冒険してるみたい!!

険しい山、広がる草原、曲がりくねった道…

リアルRPGの世界が広がります!

 
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何度も言うけど晴れた時の宝石の道ってものっそい綺麗なんです。毎日晴れてくれ!

 
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川で手こずったけど、なんとか進むぞー!と意気込んで、先へ行くと…

おいおいおいおいまた川が。

 
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もちろん増水して水深は膝上くらいまであるけど、さっきまで僕は腰まで浸かってたんだもう失うものはない!!とゴリ押しで越えようとしたところ、

 

ズボッと僕の脚は地面にめり込んだ。

 

なんだこれ!!なんだこれ!!と慌てて戻ろうとすると、もういっぽの脚もズボッと。

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きづくと両足が膝まで地面に消えた。

 そしてそのまま五分ほど僕は地面に突き刺さったまま

…もう帰りたい…(´Д` )

と思うのでした。

 

しかも、自転車をよく見るとボトルが無くなってる!!

散々担ぎ上げをしたのでそのうち落としてしまったのでしょう。ボトルがない状態であと1500m以上登るのは無理だ…

 
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絶望した顔で山を見ると、綺麗な雪化粧したウトゥルンクがある。

残念だけど、今回は時間的にも、環境的にも頂上へ行くことは難しい。川を越えるのにこれだけ時間がかかって尚且つボトルもなし、着替えも無しでこれ以上進むことは命に関わる。雪だって積もっているし、時期が悪かった。

そう自分を納得させつつも、あの高さまで自転車で行ってみたい!という自分も居て、心の中で相当葛藤しました。が、

 

結論を言うと、ここでリタイア。

街から8キロまではなんとか来れたのですが、引き返す事にしました。

これだけ悔しいことはない。

あれだけ昨日辛い思いをしてここまで来たのに、あっさりと半分もいかない距離でリタイアしなくてはならなくなった。しかも、今日は珍しく天気がよく、景色も綺麗なのに。。

 

そして何より、日本人サイクリストがこの道に到達したのはつい最近で、今のところまだ3人しか登りきった人はいないとのこと。是非とも、僕が4人目としてあの場所に立ってみたかった。

 

勿論、川が増水して越えるのが難しくなっているという情報を確認していなかった僕が悪いのですが、そもそもこの時期に行った人がいないから分からない。情報が無かったというのが今回の敗因かもしれません。

 
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帰ってホテルのおっちゃんにそのことを話すと、『当たり前だ。車でも行かんのにチャリで行けるか!冗談かと思ったわい』と大笑いされました。おおーーい!!!

これだけ悔しいことはない…!!

僕はどうやらおっちゃんの掌の上で転がされていたようです。

 

なんだか宝石の道に入ってから、自分の思うようになったことが一度もないような…

砂に埋まり風に煽られ体調を崩しそして今度は川に浸かって…

 

こうまで自然に振り回されると、

つくづく自分の力の無さを痛感させられます。

 

がっかりだったけど、一つ分かったことは、『この時期にウトゥルンクへの道走破は困難である』という事。

そして、またこの道に来るきっかけができたという事。

まだまだ世界一は遠かったけど、今度来るときのお楽しみにとっておこうと思います。願わくば、川も雪もない時に!

 

走行距離20キロ

合計距離10130キロ