自転車を盗まれてから、ホテルまでの帰り道、トボトボ歩きながら色々な事を思い出しました。
いきなりトランジット失敗し、行けるのか分からない状況で、箱はボロボロながらも無傷で空港の床に横たわっていたのを見つけた時。
雨に打たれながら160キロ走り、ホストの家に辿り着いた時。
西海岸で地平線まで伸びる大海原を見ながら坂道を下った時。
高地の寒さと傾斜に苦しみながらタイオガ峠を登りきった時。
アリゾナのだだっ広い大地を風をきって走り抜けた時。
サボテンに囲まれながら極上の夕陽を眺めていた時。
色んな人に会い、夢を聞き、その度に『カナダから来たんだ。これからアルゼンチンまでこのチャリと一緒に行くよ!』と勇ましく答えていた時。
多くの人に応援され、支えられてようやく着いた旅の折り返し地点。
これから南米の地でどんな体験が待っているだろう、と半ばワクワクしながら自転車の装備を整えている時に起きた、この悲劇。
盗んだ人にとっては只の金に見えたのかもしれない。部品はそれなりに良いものを使ってるし、まだ新しい方だ。
これから彼があの自転車で世界一周するんだ!というならまだ納得出来たかもしれない。
一番悲しいのは、これまで一緒に頑張って来た相棒がなんの報酬もなく、走りもせずにただお金のためだけに潰されてしまうという事。
そして何より、メキシコに対し、少なからず負の感情を抱いてしまうことが悲しいです。国の印象は出会った人によって決まるという。今まで出会ってきた人達は紛れもなく最高な人々でした。どうしても、その人達に汚点をつけてしまうように感じてしまいます。
じゃあここで終わるのか、
旅は終わってしまうのか?
僕の夢は潰えてしまうのか?
それだけは、絶対に嫌だ。
これまで応援してくれた人に、出会ってきた人に、また道の上で会おう!と再会を誓った仲間達に、胸を張って『よっ!』と言うためにも。
まだ見ぬ人々や絶景に出会う為にも。
そして、世界中の夢を聞いて、自分の夢を叶える為にも。
きっと世界にはもっともっとキツくて辛くて苦しいことがあると思う。こんなの序の口。
盗人にも盗めないものがあるとしたら、それはきっと僕の夢だと思う。
自転車を盗まれたことはショックだったし、ほとんど戻って来ないと言われた時は白昼泣いてしまいました。でも、心の奥で、もしこれを乗り越えられたら僕は今まで以上に成長できるのではないか?という一つの光も見えていました。
そう、盗られたのは自転車だけ。
全財産を盗られたわけでも、脚をもっていかれたわけでもない。
餞別に、ともらった寄せ書き『夢』シャツをもう一度見返してみるとまた涙が溢れてきました。
僕は多くの人に応援され日本を出発し、この大陸でも支えてくれる人がいる。
もはや僕が世界最南端の都市、ウシュアイアにたどり着くことは僕一人の夢ではないのです。
そうしたら、僕に今できることは、諦めないことしかない。
バックパッカーでもヒッチハイカーでもなく、サイクリストとしてたどり着く!!!
そのために、もう一度自転車に乗ることを決意しました。
ということで、12/30南米、ペルーはクスコに飛び立ちます!自転車を現地調達して、なおかつマチュピチュ遺跡巡りを楽しみたいと思いまーす!メキシコシティでの生活の様子も書いていこうと思います。皆さん、良いお年を!
見てろよ犯人!!!
僕は自転車でウシュアイアに行ってやるからな!!!!