El Chalten - 55キロ南東地点
星空にうつつを抜かし、起きたのは…六時。
予定では…五時。寝坊です(´Д` )
おはようございますやしまるです。
寝坊したので早く出発しなきゃ!と急ぐも、やっぱり温かいものを取らねば体は動かぬ。何たってマイナス8度ですから。そんなこんなしてると、出発は七時半に。
空は明るくなり始め、遠くではやや橙色に染まりつつある。まずい、急がなくては……!!
princenot campgroundからフィッツロイの展望台までは2キロですが、約400mアップのきつい傾斜が続く難所です。しかも川が凍結し、道の至る所で氷が張り付いている。
この氷が非常に厄介で、僕のスポーツサンダルはグリップが全く効かずツルンツルン滑るし、暗くて見分けが付きにくい。
バックパックも背負っていたので膝に負担がかかり、いつもより疲れが増す。
しかしフィッツロイの朝日が見たい一心で突き進む。あのオレンジに染まった恥ずかしがり屋の奴が観たいんだ…!!
後ろでは新海誠ワールドのような朝焼けが輝く中、一時間ほどかかり頂上に着いた先に見えたのは……
一片たりとも隠さない全てを曝け出したフィッツロイの姿がありました!
朝日で真っ赤に染まったその堂々とした姿に暫く見とれてしまう。凄い…凄いな全く。
時間が経つと色は変化し、赤から橙色、そして黄金へ。
眩くばかりに陽の光を反射して、それが洪水のようになって押し寄せる。なんだこの光景は、、圧倒されるばかりでした。
黄金色のショーが終わると、今度は写真で見た事のある風景へ。でも、一つだけ違う。
麓の湖の反射が半端ない!!( ゚д゚)
いやいやいや、フィッツロイにこんな楽しみかたがあったなんて、全く知らなかったです。
この日、朝は風があったのですが徐々になくなり、気づけばほぼ無風状態に。天然の大鏡面の完成です。
全く、シャイボーイと呼ばれたフィッツロイはどこに行ったのでしょうか。普段は隠れに隠れている、そんな姿を微塵も想像させないくらい全てを見せつけてくる彼に僕達も負けるわけにはいかない。
お目汚し失礼しました。
でもこんな事、社会人になってからはできないでしょう?外人達も笑ってたし、皆が楽しければそれでいいのです。
そんな茶番も過ごし、下山へ。
降りる最中も、後ろを振り返れば奴がいる。
不思議なことに、どんなに進んでも大きさがかわらない、寧ろ周りの山に囲まれて尚一層その存在感を増していく。
恥ずかしがり屋だけどカッコいい山でした。次は違う角度からも見て見たいな。
エルチャルテンに戻り、そのまま一泊…しようと思ったんですが、やっぱり走ることに。
何故なら、エルチャルテンは物価が物凄く高いんです!!
只でさえ辺境の地にあるのに、観光客が押し寄せたらそりゃインフレするでしょうよ。チョコ一枚750円ってなんやねん。
しかも村にはatmが二個しかなく、3000ペソ(15000円)までしか下ろせない。しかも手数料に123ペソ(約615円)かかるという!!なんやねーん!!
フィッツロイも観れたし、早急にこの村を出よう!となり、もう少し大きな街エルカラファテを目指すこととしました。
エルチャルテンを出るとすぐにパンパと呼ばれる草原が広がります。この植生はアルゼンチン側のパタゴニアの広範囲に見られ、低い草と木に覆われた平原が地平線まで伸びるのが特徴。
僕達はこれまで鬱蒼とした森の中を1000キロ走ってきました。アップダウンは激しく、しかもその大部分が未舗装。ここは舗装路で平原。。
そしてパタゴニアの風は基本的に北東から吹くので、南西に向かっている今は強力な追い風となる。するとどうでしょう。
スイスイ進むではありませんか!!!
何だこれ!ガタガタしない!ぬるぬる動く!!アップダウンもない!!
もしかして僕達…!
私達!!
風になってるーーっ!?(*゚▽゚)
皆『パンパ!パンパ!!』と連呼し、脳内レベルも幼稚園児になるほど歓喜の乱舞をしていました。まぁ実際、伊豆のアップダウンを散々走り倒した後に北海道の直線路を見たら感動するでしょうね。そんな感じです。
気持ちの良い追い風に吹かれ、前にはパンパの大草原。後ろにはフィッツロイの城のような姿を眺めながら、今日の野営地へ。
道路脇に良い感じの廃屋を見つけ、今日も今日とてキャンプです。肉とワインを買ってきたのでいつもよりちょっとリッチな夜(いつも通り…?)を過ごし就寝。
色々と濃い1日でした。
走行距離55キロ +トレッキング20キロ
合計距離11465キロ