Santiago de Cuba - Bayamo
昨日一日休んでいたので、そろそろ走り出さねば。なんといってもあと9日しかないんですよね。あんまり最後の方はバタバタしたくないので最初の方を飛ばしていきたい。
と思ってたんですが、オーナーのレオと彼の自転車整備したり話していたら気づけば11時。おぉふ…でも興味深い話が聞けました。
社会主義によって給料がある程度平等化された事により、生活が安定したことと引き換えに思い切ったことができなくなったと。そのためお金がキューバ人の中で回らず、飯は食える、家はある、だけどお金はない、という状況になっているらしい。そうなると自営業で稼ぐしかないけど、飲食系は利益が微々たるものだし、カサのような民宿業はオフシーズンは全く人が来なくなる。なので、同時に別の仕事をしているけど、そうなると自由時間が消えて何のために働いているのかわからなくなるのだそうだ。
なんだか耳の痛い話でした。日本では金はあるけど時間はない社会人が多いイメージ。逆にキューバは時間はあるけど金はない。お金を稼ごうとすると、時間がなくなる。難しいな、この問題は…
かといって僕にはキューバ人が不幸に見えるかというとそうでもない。美味しいお酒とサルサで近所迷惑や周りを考えずに子供も混じって踊り明かせるのはここぐらいなんじゃないか。日本じゃキューバにある『自由』はない。
案外幸せというのはないものねだりで幸せな時はそれに気づくことができないんじゃないかと思います。
レオに夢を聞いてみると、
Mi Sueno es ...
Construir mi casa , para recibir aquellas personas que quieran visitar Santiago de Cuba y conocer nuestras costumbres y cultura.
los espero , a los que quiets venir a Santiago.
『家を更に増築して、もっともっと色んな旅人をここサンティアゴに招待したい。そして彼らにキューバの生活や文化を知ってもらえたら嬉しいね!』
実は、部屋をもう2つ増設しようとしていて、一部屋500cuc(50000円)で建てられるそう。でも普段の収入じゃとてもとても溜まる金額ではないので、カサとして今ある部屋を改装し、お金を貯めて自分用の部屋を作るのが密かな夢らしい。というかレオ自分の部屋ないのか、、、ちょっと同情してしまった。今年で45歳なのに…
キューバの人達は自分達で海外に出ることが難しいから、外から来た人達の話を聞いて世界を知るのだそう。だから、レオはキューバを知ってもらうことは勿論、コミュニケーションで相手の国、世界を知るために英語を学んでいる。
実際彼は訛りもない綺麗な英語を話していました。
色々話したけど、最後に『まぁお金が入れば美味いラムが飲めるからそれだけでも嬉しいんだけどね!』って言ってたのがお茶目だった。ほんとうに興味深い話だった。良かったらサンティアゴデクーバに行く時は泊まってあげると彼の部屋が早くできます。『さとみの宿』に紹介されたので、もしそっちがダメだった時は是非!!
とまぁ長々と話してたんですが、走る距離は変わらないのです。11時となるともう灼熱タイムに入っているのでもう帽子とサングラスなしでは生きていけない世界になります。冗談抜きで暑い!!
サンティアゴから50キロほどは、軽いアップダウンを重ねて行きます。平坦って聞いてたけど、そんな事はなく汗をダラダラかきながら登っていく。暑い。
今日の昼ご飯はサンドイッチにしようと屋台に行くと、もうアジア人で自転車に乗ってるとのことで質問が来るわ来るわ。僕の持ってるカメラをみると、『写真撮ってくれよ!』なんて言ってきたり!
サンドイッチの具は豚の丸焼きでした。
そして一通り食べ終えて自転車に戻ろうとすると、店にいた青年が僕の時計を指して、『これ、くれないか?』と聞いてくるではありませんか。
『いやいや、これは使うからダメだ』と断ると、『じゃあそっちのライトはどうだ?』と粘る青年。
チャリダーなんて必要な物以外持たないし、特に今は色々荷物を断捨離してきているので青年にあげられるような物なんて持ってない僕。青年には悪いが、ここはきっぱり断ろうと思い『何もあげられるものはないよ、ごめんね』というと、『周りを見てくれ。ここの人達は皆時計は持ってないし、Tシャツも一枚しかないんだ。君みたいな旅人からもらうしか方法がない。頼む。』と返ってきた!
…たしかに周りのお年寄りや子供達はズボンしかはいてないし装飾品なんてもってのほかだ。どうやらキューバに物が不足しているというのは田舎では特に顕著になっているらしい。
でもだからといっておいそれと渡すわけにはいかない。そうやってはいわかりましたと渡せば旅人=物をくれる人と定着して彼らはこれからもねだるようになるだろうしそもそも僕はプレゼントを配りにきたサンタクロースではないのだ。
うーーーーーむ、と悩みに悩んで、右手に付けていたもう壊れかけの御守りを見せて、『もし君が大切にするならあげるよ』といったら、『本当か!!ありがとう、大切にする。ありがとう!』と心底嬉しそうにしていたので、結局プレゼントしてしまいました。結局こういう時に甘くなってしまう。
なんだかなーーと思いながらも走り続ける。物がないというのはこういう影響もあるんですね。社会主義は平等だけど、果たして平等が必ずしも良い結果を生むとは限らないのかなぁ、ともやもやしていると今度は空ももやもやしてくる。
途端にスコールが降り始め、木下に避難したものの徐々に濡れていく。雷も伴うような豪雨でした。
どうするかな、と思い立ち尽くしていたら、近くの家から手招きしているおじいさんが見える。ぶっちゃけ、さっきの一件もあったので一瞬考えたのですが、このまま濡れるのも嫌だったので行ってみました。
お爺さんのうちはかなりみすぼらしく、掘っ立て小屋に近いレベル。(事実屋根はトタンで出来ていた)この人ももしかしたらさっきの青年みたくねだるんだろうか、と内心ビクビクしながら話をしてみる。
『君はチーノか?』
『日本です』
『そうか日本か…じゃあこれを知っているか?』
そう言ってお爺さんが出してきたのは………ブルースリーの映画DVDでした!
日本人ではないけど…というか中国人でもないけど…!!言いたいことは分かる!
そして極め付けに
『日本人は皆カラテ強いのか?ブルースリーなのか?』
と言ってきて、僕は我慢できなくなって思い切り吹き出しました。
なにこれ面白すぎる…!!
その後も会話は続き、雨が止む30分後まで話し続けていました。その間、彼らは一言も物がないから、何か要らないものはないか?とは聞かなかった。さっきの青年達より家も格好もみすぼらしいのに……
自転車に乗る前に、写真撮っても良い?と聞くとちょっと待て、と言って帽子とワイシャツを着てくるお爺さん。
お茶目すぎる!!(о´∀`о)
そしたら今度俺も写せ、と言わんばかりにおっちゃんも入ってきて、じゃあ私も、とお婆さんも来て、しまいには小さな子供来る始末。
なんだかほっこりさせてもらいました。彼らは僕が見えなくなるまでずっと手を振っていた。
つくづく思うのが、『〇〇人は優しい、〇〇人はぶっきらぼう』というカテゴリは当てにならないなーと。色んな人がいて、色んな考えがありそれを一括りにしてしまうにはキューバの枠は大きすぎる。
なんだかまとまらないけど、社会は平等を目指しているのにこんなに人によって考えが違うのは面白いなぁと思いました。
ちなみにこんな日でしたが、割と頑張って日が沈むまで走り、そこそこの大きな街に突入。
(写真は翌朝撮影)
入ったカサは見た目通り中も広く部屋も綺麗。
ご飯を買う時間も体力も尽きたので夜ご飯作って貰ったらこんなに出てきて大満足の夜でした!
走行距離130キロ
合計距離12645キロ