前日酒をたらふく飲みかちゃ―しーを踊り,ベッドに吸収されるかのように眠ってしまった.起きると,体全体がきしむような感じがする.年甲斐もなく踊りまくったわけで,もれなく筋肉痛になってしまった.
この日の夕方の便で,僕たちは石垣島をあとにする.
たった4日間だけど,楽しすぎて,魅力が詰まり過ぎていて本当に一瞬だった.
どのくらい一瞬かというと,旅行で何かあるたびにツイッターやインスタグラムに写真をあげてしまう僕のような承認欲求のかたまりみたいな人間でも,なにも投稿することができないくらい,あっという間に過ぎてしまった.
朝はもちろんオニササから始まる.
石垣の朝はこれがないと始まらない.
なぜこんなジャンクフードの爆弾みたいな食べ物がすんなりと胃袋に入ってしまうのか.本土に帰ってもファミチキとおにぎりとかで再現できそうだけど,この脂っこそうで意外と食べれてしまう,という絶妙な加減になる気がしない.特殊な製法でもあるんだろうか.
結局この日も例にもれず二個食べてしまった.デブまっしぐらである.
ここまでの3日間ひたすらに遊びつくしてきたため,最後の日くらいはゆっくりと.
中心部にあるお土産街をめぐり,誰に何を買おうか考えながら歩いて見て周った.
ちなみにお土産街には泡盛を売っている店もあり,試飲という名の飲み会が開かれたことは言うまでもない.
さらに沖縄の有名なアイスパーラー,ブルーシールでアイスを食べ,アメリカご用達のA&Wで飲む湿布と名高い「ルートビア」を飲んだ.
案外この薬っぽい味は最初飲んだ時はウッとなるけど,だんだん慣れてきて次第においしく思えてくるから不思議である.
その後,天気も良かったので近くのビーチに日向ぼっこをしに行った.
着いたのは「真栄里ビーチ」.
かの有名なANAインターコンチネンタルホテルの管理するビーチで,てっきり有料だと思っていたのだけど,駐車場料金も無料で利用することが出来た.
ホテルが管理するビーチというだけあって,ゴミも落ちていないしライフセーバーもいるから安心できる砂浜.
ここで先ほどのルートビアを飲みながらぼーっと海を眺めていると,だんだん普段悩んでいることがどうでもよくなってきて,ついでに飛行機の時間とかもどうでもよくなってきて...
最終的には寝ていた.
近くでは女子大生と思われる二人組がキャッキャと写真を撮って遊んでいたが,それも構わず思いっきり爆睡していた.海の近くってなんであんなに安心できるんでしょうね.
思えば石垣にいる間はずうっと海と隣り合わせの生活を送ってきていた.
AirBで取ったホテルも海のすぐ近くで,車を走らせてもどこかしらに海は見えた.どこにいても,ゆったりとした波の音のようなものが聞こえていた気がする.
普段の生活ではどんどん時間に縛られて,何かをしなくてはいけない,こうならなくてはいけない,という思い込みでせかされるように生きていたけど,
この島に来てからは,そんな鎧みたいなものがだんだん剥がされていき,何も纏わない海のように,ゆっくりとした時間を過ごせたと思う.
石垣の人口のうち,若者の半分は移住者だという.
理由はいろいろあると思うのだけど,一つはこの島に流れるゆったりとした時間にほれ込んだのではないだろうか.
普段の生活では味わえないような,何者にもせかされることのない特殊な時間のようなものがこの島には流れていて,不思議と普段よりイライラしたり怒ったりすることが少なくなった.
沖縄の有名な方言で「なんくるないさー」という言葉があるが,ここで過ごしているとその意味通り,「なんとかなる」という少し軽いけどポジティブになる気がしてくる.
そんな独特の流れのようなものに魅了されたのではないだろうか.
その後レンタカーを返し,無事に搭乗ゲートに辿り着く.
寂しい気持ちもあったけど,なぜか不思議とまた来れるような感覚を感じていた.
飛行機に乗り込み,少し眠ったあと窓の外を眺めるともうそこにはあの綺麗な海も,青々とした森もなかった.
都会の煌々としたビルの明かりが真っ暗な大地の下に点々と光っており,さっきまでの光景がまるで夢を見ていたかのように思える.
それでも目を閉じれば,思い出の奥底から石垣の海に思いを馳せることができる.
忙しい生活が始まって,自分のことだけで精一杯になり周りが見えなくなることもあるかもしれない.そんな時でも,あの不思議な島に思いを馳せることはできる.
また行きたいなあ.
普段の生活に戻った今,じんわりと感じるのはその一言だけです.
そう思わせてくれただけで,貴重な4日間でした.
今度はもう少し長く,もっとゆっくりと過ごしてみたいけれど,
ひとまずは石垣の自然と人々に感謝します.
ありがとうございました!
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●ライター:やしまる
自転車総合メーカーのサラリーマン。
大学3年生の夏休みに自転車で日本を縦断、その後大阪-長野間ブルベやバリ島一周を経て、大学院1年時に休学し自転車でアメリカ大陸を縦断。その後アイスランドを経て10カ国約16000kmを走り、帰国後は報告会や展示会を開催し、主に自転車旅で得た経験を伝達しています。プリンづくりが好き。
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