飯とカメラとアウトドア 

家にいるとソワソワする。外に出ると家が恋しくなる。何をしていても落ち着かない、社会人のブログ。

【ネパール山岳自転車釣り旅】⑦トロンパスの先

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Thorong Hi Camp - Muktinath

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昨晩は疲労に加え、頭痛と熱、体の怠さが顕著に現れ、突っ伏すように布団に入った。やはりmanangから一気に高度を上げたのが祟ったようで、かなり不安な状態で眠りについたのだが…

 

薬のおかげで意外にもすんなり寝ることができ、頭痛も熱も引いた。

いつもの平日よりも寝れた実感がある。

ありがとうダイアモックスとイブ。

ブランケットを念のため追加で注文したのと、ダルバートをドカ食いしたのも良かったのかもしれない。

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朝3時に起き、のそのそと準備を開始する。

他のグループはまだ起きていないようで、静寂の中準備を進める。

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なんだかんだで4時半にハイキャンプを出発。

あたりはまだ暗く、すこし雪が降っている。

登山道に入るとすぐに雪が現れたためチェーススパイクを付けた。

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雪の量はやはり少ない。

ので押し歩きが今日も可能なのだが、岩と雪のミックスで前輪が引っかかってしまう。

その度に自転車をえいやっと持ち上げる動作が、地味にきつく、体力を奪っていく。

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そのうち日が昇り、他のトレッカーも入り混じるように。

自転車を押し歩けている時は良いのだが、持ち上げる動作の時はどうしても時間がかかり、その度に急かされている気持ちになる。

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思えば、なぜアンナプルナサーキットに行きたいと思ったのか。

ぶっちゃけて言うと、僕はあまりトロンパスには興味はない。

世界最高標高の峠ではあるのだが、それを超えることにはあまり意味を感じていない。

むしろ、超えなくて良いなら超えたくない。

 

ただし、8000m級の山々に囲まれた道を走ってはみたい。

自転車で進むたびに、奥からどんどんみたことのない景色が飛び出してくる、そんな想像を超えたサイクリングがしたくてここに来た。

トロンパスを越えようと思うのではなく、周りの景色を見渡すと、そこにはやはり美しい山々が。

僕たちはこんな凄いところを今走っているのか。そう考えると俄然力が湧いてきた。

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最後の登りが終わると、地平線の先にタルチョがはためいているのが見えた。

人だかりができており、皆喜んでいるのがわかる。

ほぼ押し歩きだったが、最後だけ自転車に乗ってゴールしてみた。

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Thorong pass 5416m登頂!

自転車での自己最高標高を更新できたのは嬉しいのだけど、それ以上に、自分でやると決めたことをやり遂げられてホッとしている。

つい一週間前まではただのサラリーマンだったのに、やればできるもんだ。

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仕事を休んで、妻を日本に置いてきて、異国の地でもがいて…そんなことが一緒にできる仲間がいるというのは本当にありがたい。

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と、感動も束の間、下山へ。

と言うのも、午後から天気が悪くなる予報があり、できるだけ早く下山したいのだ。

前情報によると、下山ルートも自転車に乗れる、と聞いていたのだけど、これはかなり難しかった。

道がガレているのと、斜度が急なのだ。

なにせ、ムクティナートからトロンパスまでは10kmで1600mもの標高差がある。

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初めのほうはできるだけ自転車に乗って下ろうとしたのだが、完全に自転車が制御不能になり、何回か落車してしまった。

レインウェアは破け、ハンドルは曲がり…血は滲む。

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これ以上は無理と判断し、ほぼ押し歩きに。

結局トレッカーとは同じペースになり、ポーターの人にはガンガン抜かされる。

自転車に乗れないサイクリストとは、いかに非力で情けない存在なのだろうか。


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ムクティナートの街は、ヒンドゥー教とチベット仏教の聖地で、数々の寺院や像が祀られている。

巡礼の人とアンナプルナを周った人、地元の人でごっちゃになり、独特の雰囲気を纏っている。人の喧騒というのをかなり久々に感じた。

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宿には早々にチェックインし、ホテルで明日のジープを予約した。なんせ明日は天気が悪い。しかし飛行機の予定もあるので、できるだけ進めておきたい。

苦渋の決断で、ジープを貸切にし自転車を中に詰められるよう、ホテルのおばちゃんにお願いした。果たしてこのジープはちゃんと来てくれるのだろうか。
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夕飯はこれまでの高山生活の反動からか、たくさん料理を頼んでしまい、今日もドカ食い気絶部となる。遠くには、夕陽に染まるダウラギリが輝いていた。

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