飯とカメラとアウトドア 

家にいるとソワソワする。外に出ると家が恋しくなる。何をしていても落ち着かない、社会人のブログ。

【ネパール山岳自転車釣り旅】⑨魚の行方

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Kushma - Pokhara - Kathomanth

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今回の旅の目的の一つ、アンナプルナサーキット走行は無事叶った。もう一つの目的は魚を釣ることだ。

 

現地を自転車で走りながら現地で魚を釣る。

自転車では同じ道を走ることはあまり無い。

つまり、もし魚を釣ることができたなら、それは魚との一期一会であり、一筆書きの旅の中でとても印象に残る出来事になる。

 

今回も、勿論それを狙っていたのだが…

ここまでの道中、単純に自転車ルートとしての強度が高すぎて釣りの時間がほとんど取れなかった。

そうこうしているうちに、気づけば最終日である。

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幸い、昨日雨の中頑張って走ったことにより、少し時間に余裕ができた。

朝5時起きでホテルを出発し、地図で目星をつけていたポイントへ向かう。朝日に照らされるマチャプチャレが神々しい。

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ちなみに、ネパール河川での釣りをするためのルールやライセンス等は、なかなかインターネットで調べても出てこない。

本当は釣具屋やガイドに聞くのがベストだが、今回は行き合うことがなかったため現地の人に聞きつつ釣りができるポイントを探すことにした。

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一つ目のポイントはダム下で水が良い感じに流れているところ。

魚影は見えないが、雰囲気はとても良い。ここであればいる可能性が高い、と思いつつ準備を進めていたのだが。

 

地元の少年2人がおもむろに現れ、僕達の様子を見るや否や、ルアーフィッシングはネパールで禁止されている、と言い始めたのだ。

 

実際に、ポカラ近郊ではルアーフィッシングは行われている。

もしかするとこの川が禁止なのか、ルールが変わったのか聞きたいというと、別の家に案内された。

 

そこではおじさんとおばさんが現れ、以下のことを説明された。

・ルアーフィッシングは禁止である。

・餌釣りはOK。

・ネパールの川は全部同じルールである。

 

僕としては、釣れるなら餌釣りでも良い。

但し、餌釣りのセットが問題で、錘となる石ころが2000円、餌が1000円と言うのだ。

 

…怪しい。

とても怪しい。

ネパールで餌釣りしかできないと言うのも聞いたことないし、他の地域の人もそんなことは言っていなかった。

 

しかも3000円というのは、観光客にとっては払えるかもしれないが、地元の人にとってはかなりの大金だろう。

地元の人が釣りをしているのを見た事があるが、そんな大金を払っているとは思えない。

 

極め付けは、話し方だ。

少年はおじさんとおばさんにニヤニヤしながら耳打ちをし、おじさんとおばさんは英語を話せないふりをして売りつけようとしてくる。

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もうええでしょう!

色々と質問をしても、3000円が1セットだ、しか言わなくなったので、無視をして上流に進み、そこで別の人に聞くことにした。

 

ちょうどアンナプルナサーキットのACAチェックポイントがあったので、事務員に聞いてみると『何も問題ない。川のどこでもOKだよ』と言う反応。

ルアーもOKだし、魚もいるという。

さっきの彼らの言い分はなんだったのか。

 

都合が良いかもしれないが、ACAチェックポイントの人の方がルールには詳しく、正当であると判断し、こちらを信じることにした。

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川の水量は多く、少し濁りがある。

季節は春なので、雪解け水が混じっているのだろう。

上流に上がると、少しマシになったので釣りを開始した。

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しかしなんだろう、雰囲気は良いのだが、魚影が全くない。

チェイスもなければライズもない。

魚の存在を感じれない。

ネパールの魚はどこに行ってしまったのだろうか?

 

結局、魚の姿すら見えず、時間が来てしまったのでポカラに向かうことにした。完全敗北である。

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ポカラに西側から入る際には峠を一つ越す必要がある。

10kmかけて600mほど登る、かなり長丁場の登りをゆっくりと確実にこなしていくと、次第に景色が開け、眼科にポカラの街が見え始めた。

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そこからはひたすらダウンヒル。

マチャプチャレやアンナプルナ峰を眺めながらの舗装路の下りはかなり気持ち良い。

 

正直、僕達を(恐らく)騙そうとして時間を無駄に使わせた少年たちに結構イラついていたのだけど、このダウンヒルでそんな気持ちは吹っ飛んだ。ありがとう下り坂。

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ポカラ近郊まではすぐにたどり着いた。

 

ポカラの街は美しい、とよく現地の人から聞いていたので期待していたのだが、僕はあまりそう思わなかった。

 

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理由は交通である。

ボッコボコの道、縦横無尽に走り回るバイクとタクシー、鳴り響くクラクション…

そこは一般的なアジアの街と何一つ変わらない、喧騒な街並みであった。

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バイクとのマリオカートを楽しみつつ、早々に空港へ。

着いてから気づいたが、後輪がパンクしていた。それほど、街中のマリオカートは白熱していたということだろう。

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ポカラ空港からはブッダエアーでカトマンズまで一度飛ぶ。

あまり情報が無かったが、ブッダエアーに自転車は輪行バックで超過料金なく乗せることができた。

ブッダエアーはよく遅延すると聞いていたが、飛行機も早い便に変えてもらうことができ、結果的に時間通りに到着することができた。
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カトマンズに戻った理由は、一日目の宿に預けておいた段ボールを回収するため。

忘れて捨てられてないか心配だったが、しっかり残しておいてくれたおかげで無事梱包できた。

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そして最後の夕食はやはりダルバート。

きつい時、疲労が溜まった時、なぜか食べたくなるのはダルバートだった。最後ということもあり、盛大に三度ほどおかわりし、眠りに着いた。

 

 

これで、今回の旅は終了。

この後、火曜日の朝に日本に到着し、そのまま僕は出社した。

遊んで帰って、すぐ仕事があるということはサラリーマンの特権だと思う。

本当に幸せなことだ。

 

今回の旅は、特に時間の無さと体力の減衰を感じた。

7年前、大学院生の時に僕は休学して9ヶ月間自転車で旅をした。

その時は時間も体力も有り余っていた。

やろうと思ったことを、すぐ実行に起こすことができた。

 

今は状況が違う。

僕は結婚して家族がいるし、仕事もある。

その中で日々トレーニングをし、時間を見つけ、休みを作るのは中々難しい問題ではある。しかし、そんな困難を乗り越えて集まる仲間がいる事は、とても勇気づけられた。

 

今後とも、面白いことを見つけ、行動し続けたい。

このブログが、同じような思いの人の一助になっていれば嬉しい。

それでは、また次の旅で会いましょう。

 

【ネパール山岳自転車釣り旅】⑧旅の醍醐味

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Muktinath - Kushma

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昨日頼んだジープツアーは、7人乗りのジープを僕たち4人で貸切り、中に自転車を積む作戦立った。

宿のおばちゃんには貸切にして自転車を中に積みたい旨を伝えて、おばちゃんも理解した様子だったのだが…

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なんと朝来たジープには何故か4人すでに乗っていた。もちろん、自転車は当然中に入らず、上に積むしかないと言い出した。

 

ネパールの道は本当に路面状況が悪く、自転車一台であればジープの上に積んでも緩衝材さえちゃんとすれば問題ないと思うが、自転車4台は論外だ。確実にぶっ壊れる。

 

とはいえ、ホテルのおばちゃんも頭を抱えて困った顔をしている。聞いてみると、昨日の時点では貸切状態だったそうだ。その時点で貸切を確定してくれていればよかったのだけど、うまくいかなかったのだろう。

 

実はこのおばちゃんには昨日から色々とお世話になっており、正直あまり責めたくはない…

苦渋の決断ではあるが、キャンセル料を払ってキャンセルすることにした。

 

一番喜んでいたのは、中に座っていた4人組のヨーロピアンハイカー達である。僕たちがキャンセルと分かると嬉々として席を移動し、広々と座り始めた。そりゃそうか。

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ということで、走らなくてはならなくなった。

もともとここを飛ばすのは、天気が悪い予報だったことと、明日には200km先のポカラに着いている必要があったからだ。

安全マージンを取ろうとしたのだけど、それが取れないならば自分で走れば良い。

そもそも僕らは自転車なのだ。

自分で転がす車、それが自転車のはずだ。

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幸いなことに、午前中は天気が持ってくれる予報だったので、準備次第進むことに。

 

とはいえ、ムクティナートからポカラまでは基本下り基調の道となる。それならばかなり近くまで進めるはずだ…思っていた。

 

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現実はそう甘くはない。

初めこそ綺麗な舗装路が続いていたが、ネパールの道は交通量が多いくせに路面状況が非常に悪い。

土砂崩れが多いので、舗装までしている余裕がないのだと思うのだが、未舗装が多い上に路面状況が最悪だ。

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どう進んでも石や段差を踏まなくてはならず、自転車や体に振動が来る道のことを僕たちはAFR(ア◯ルフ◯ックロード)と読んでいるのだが、このAFRがほとんどを占めているのだ。

 

ネパールの運転はかなり荒く、僕たちがいるのを分かっていながら対向車線から追い抜こうとしてきたり、無理な追い抜きで対向車とぶつかりそうになったりしているのをよく見かける。その度に精神が削られていく。

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さらに午後から雨が降るとドロドロのヌタヌタ道となる。

そうなると車も進めなくなり、至る所で渋滞が発生する。もう地獄絵図ですよ。

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このAFR地獄で完全に精神を病んでしまった僕たちは、途中のクシュマの街で休むことに。

気づいたらムクティナートから113km走っていたので、もうここで良いかと妥協。

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散々な日だった…と思う反面、海外ツーリングではやっぱりこういう日がないとな、という気もする。旅とはトラブルありきだし、それが醍醐味でもある。

 

一個良かったところは、この日に泊まった宿のホットシャワーはこれまでの旅中で最も素晴らしいもので、今日の疲れと汚れを十分に洗い流すことができた。

その後に飲むビールも、それは素晴らしいものだった。

 

 

 

【ネパール山岳自転車釣り旅】⑦トロンパスの先

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Thorong Hi Camp - Muktinath

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昨晩は疲労に加え、頭痛と熱、体の怠さが顕著に現れ、突っ伏すように布団に入った。やはりmanangから一気に高度を上げたのが祟ったようで、かなり不安な状態で眠りについたのだが…

 

薬のおかげで意外にもすんなり寝ることができ、頭痛も熱も引いた。

いつもの平日よりも寝れた実感がある。

ありがとうダイアモックスとイブ。

ブランケットを念のため追加で注文したのと、ダルバートをドカ食いしたのも良かったのかもしれない。

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朝3時に起き、のそのそと準備を開始する。

他のグループはまだ起きていないようで、静寂の中準備を進める。

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なんだかんだで4時半にハイキャンプを出発。

あたりはまだ暗く、すこし雪が降っている。

登山道に入るとすぐに雪が現れたためチェーススパイクを付けた。

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雪の量はやはり少ない。

ので押し歩きが今日も可能なのだが、岩と雪のミックスで前輪が引っかかってしまう。

その度に自転車をえいやっと持ち上げる動作が、地味にきつく、体力を奪っていく。

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そのうち日が昇り、他のトレッカーも入り混じるように。

自転車を押し歩けている時は良いのだが、持ち上げる動作の時はどうしても時間がかかり、その度に急かされている気持ちになる。

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思えば、なぜアンナプルナサーキットに行きたいと思ったのか。

ぶっちゃけて言うと、僕はあまりトロンパスには興味はない。

世界最高標高の峠ではあるのだが、それを超えることにはあまり意味を感じていない。

むしろ、超えなくて良いなら超えたくない。

 

ただし、8000m級の山々に囲まれた道を走ってはみたい。

自転車で進むたびに、奥からどんどんみたことのない景色が飛び出してくる、そんな想像を超えたサイクリングがしたくてここに来た。

トロンパスを越えようと思うのではなく、周りの景色を見渡すと、そこにはやはり美しい山々が。

僕たちはこんな凄いところを今走っているのか。そう考えると俄然力が湧いてきた。

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最後の登りが終わると、地平線の先にタルチョがはためいているのが見えた。

人だかりができており、皆喜んでいるのがわかる。

ほぼ押し歩きだったが、最後だけ自転車に乗ってゴールしてみた。

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Thorong pass 5416m登頂!

自転車での自己最高標高を更新できたのは嬉しいのだけど、それ以上に、自分でやると決めたことをやり遂げられてホッとしている。

つい一週間前まではただのサラリーマンだったのに、やればできるもんだ。

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仕事を休んで、妻を日本に置いてきて、異国の地でもがいて…そんなことが一緒にできる仲間がいるというのは本当にありがたい。

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と、感動も束の間、下山へ。

と言うのも、午後から天気が悪くなる予報があり、できるだけ早く下山したいのだ。

前情報によると、下山ルートも自転車に乗れる、と聞いていたのだけど、これはかなり難しかった。

道がガレているのと、斜度が急なのだ。

なにせ、ムクティナートからトロンパスまでは10kmで1600mもの標高差がある。

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初めのほうはできるだけ自転車に乗って下ろうとしたのだが、完全に自転車が制御不能になり、何回か落車してしまった。

レインウェアは破け、ハンドルは曲がり…血は滲む。

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これ以上は無理と判断し、ほぼ押し歩きに。

結局トレッカーとは同じペースになり、ポーターの人にはガンガン抜かされる。

自転車に乗れないサイクリストとは、いかに非力で情けない存在なのだろうか。


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ムクティナートの街は、ヒンドゥー教とチベット仏教の聖地で、数々の寺院や像が祀られている。

巡礼の人とアンナプルナを周った人、地元の人でごっちゃになり、独特の雰囲気を纏っている。人の喧騒というのをかなり久々に感じた。

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宿には早々にチェックインし、ホテルで明日のジープを予約した。なんせ明日は天気が悪い。しかし飛行機の予定もあるので、できるだけ進めておきたい。

苦渋の決断で、ジープを貸切にし自転車を中に詰められるよう、ホテルのおばちゃんにお願いした。果たしてこのジープはちゃんと来てくれるのだろうか。
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夕飯はこれまでの高山生活の反動からか、たくさん料理を頼んでしまい、今日もドカ食い気絶部となる。遠くには、夕陽に染まるダウラギリが輝いていた。

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【ネパール山岳自転車釣り旅】⑥ヒマラヤの懐中

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manang - throne hicamp

 

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朝目覚めると、多少の頭の痛さと足の筋肉痛がある。どうやら昨日ice lakeまで登ったのは必ずしも良いことだけではなかったようだ。

高山病の初期症状が出ているようなので、日本で買っておいた高山病の薬、ダイアモックスを口に入れて準備を開始する。

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この薬、噂によるとネパールでも買えるらしいが、なぜか周囲に他の客がいないタイミングで店主がこっそりと出してくるらしい。そんな闇取引をやってみたかったが、今回は時間節約の旅なので日本でしっかり用意してきた。

 

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今日からはいよいよアンナプルナサーキットの核心部、トロンパスに向けて動き出す。

僕にとっては自転車で到達する最高標高である。以前南米のウトゥルンク(5600m)を登ったことはあるが、ボトルを落としてリタイアしてしまったのでどこまで登れたのかは分かっていない。今度こそ、公式記録として登り切りたいものだ。

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朝ごはんは1000rp(1000円)もするセットを頼んだ。標高とともに価格は高くなっているが、僕はサラリーマンだ。お金には屈しない。このジャンキーそうなセットがやたら食べたいのだが、食いたいものを食うために一生懸命働いている。味は普通だった。

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天気予報的にできるだけトロンパスに近付いておいた方が良さそうなので、今日は一気にmanang(3400m)からハイキャンプ(4800m)まで一気に上がりたい。

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manangの街を出るときに少し勾配のきつい坂が続き、振り返ると街の姿が。

物資の量や価格が良いバランスで、山に囲まれた雰囲気が好きな街だった。まさにヒマラヤ山脈のお膝元で、様々なアクティビティの拠点になっている。

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道は車の入れないトレッキング道。

てっきりあまり乗れないんじゃないか…と思っていたのだが、意外と道は踏み固められていて乗れる区間が多い。

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といっても、上りになるとすぐ息が切れるので押し歩く。景色はいかんせん良いのだけど、とにかく空気が薄い。

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片斜面にへばりつくように道は作られているが、 高山病にやられてふらふらするので押し歩きもそう簡単にはいかない。

いつもよりかなり遅いペースでなんとか昼頃にthrone pediに到着した。

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具のないインスタントヌードルを胃に注ぎ込む。

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throne pediからhicampまでは、1.4kmで350m登る、超激坂区間となる。下から見るとまるで壁のようだ。人が這いつくばるようにして一歩ずつ登っていく。

実際歩いてみると、それはそれはきつい…と想像していたのだけど、意外とそうでもない。

自転車を押して歩けるので、実質杖のように体重を預けることができる。

 

年によっては雪で埋まっていることもあるらしい。そうなると自転車の押し歩きはできないため、担ぐことが必要になる。今回はその担ぎを想定して、荷物の軽量化や配置を工夫してきたが、杞憂に終わったようだ。

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とはいえ、普通にきついんですけどね。

息が上がると戻るまで時間がかかり、頭が痛くなるので、10歩歩いたら休憩をずっと繰り返していた。

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夕方16時頃、ようやくハイキャンプに到着。

もう既に達成感があるが、僕たちはここで一泊夜を明かして、明日の朝イチでトロンパスを目指さなくてはならない。

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夕食はお馴染みダルバート。標高4900mでもちゃんとおかわりが出てくることには感動した。その心意気に、あまり食欲はないのだけどお腹に詰め込む。

 

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高山病の初期症状と言われる頭痛はあるし、熱もあるようだ。

ここまでの道中、休憩日を入れずにフル稼働してきたせいか、皆がダルそうに布団に入って動かなくなる。暖房のない牢屋のような部屋だけど、窓から外の寒気が漂ってくるので布団に入ってじっとする他ないのだ。

 

みんなで出し合った残りわずかなダイアモックスと解熱鎮痛剤イブを体にぶち込み、回復することを祈る。明日の朝は4時起き。いよいよ核心部のトロンパスだ。果たして行けるのだろうか、久々に不安だ。

【ネパール山岳自転車釣り旅】⑤歩けるアイスレイク

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manang - ice lake - manang

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カラッと晴れた高地らしい、爽やかな朝を迎えることができた。

昨日までは自転車でゴリゴリ漕いでいたが、今日は高度順応のための予備日としている。だいたいの人はmanangで過ごすか、チリチョレイク(4900m)まで登って高度順応するらしい。

 

僕達の第一目的はトロンパスを超えることなのだが、第二目的はネパールの河川で釣りをすることである。

 

この予備日を使い、manangの周りでぜひ釣りをしようと画策していたのだが…

ホテルマン曰く、どうやらこの辺りは氷河の水が流入するせいで水温がかなり低く、魚が住める環境ではないようだ。なんなら、この近くで魚を見たことがないとも言う。

 

…釣りができないと聞き、全てのやる気を失う僕達。

もういっそこのまま寝てしまおうかとも思ったのだが、こうしている間にも同僚、先輩が僕の残していった仕事をしていると想像すると、ホテルでごろごろするのはなんだか申し訳ない。

僕もすっかりサラリーマンになったのだと実感した。但し、やっぱりチリチョレイクまで行くのは面倒臭い。

 

そんな僕達が選んだのは…もっと手軽で高度順応ができる、ice lake(4600m)である。

manangからbragaまで戻り、そこから4kmほどの登山で登頂できるようで、ちょうど良い距離感だった。ありがとうice lake。

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いざ、昨日ピカピカにした自転車で。


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ice lakeまで、自転車で行けるところまで進んでみようとしたのだが…途中でギブアップして木の影にデポ。

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肩幅ほどの道しかなく、斜面方向に斜めになっているので走りにくいことこの上ない。

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と思っていると、どうやらここは正規ルートではない獣道だったようで、もっと整備された道に出た。これならもう少し自転車で進めたかもしれない。

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お気づきの方もいるかもしれないが、manangが標高3500mなので、ice lakeまでは1100m登ることになる。

登山道は4kmなので、平均勾配は27.5%だ。これは、自転車なら間違いなく乗ることができない斜度である。歩きでも割としんどい。

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昨日は3000m超えたあたりから頭がぼーっとしていたのだが、今日はさらにその上を行かなくてはならない。

とにかく一歩を小さく、呼吸を安定させて無心で歩き続けると、景色はどんどん荒涼としたものに。

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気づけば標高は4000mを超え、かつての南米アタカマ砂漠を彷彿させる、果て感のある風貌に変わっていく。

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目的のice lakeには昼過ぎに到着。

今日はゆっくり9:30に出発したのでまあまあのペースで登れたのではないだろうか。

 

ちなみに、このice lake、アイスと名がつくのに凍ってないやんけ!とよくブログで見かけるが、今回はなんとカチカチに凍っていた。

試しに乗ってみても、全く平気。

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テンションが上がってジョジョ立ちをしたのだが、なんだかコラ画像みたいになってしまった。

 

そうこうしているうちに風が強くなり、かなり冷え込みだしたので急いで下山。

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寒さのあまり道中のカフェでラーメンを食べたのだけど、山で食うラーメンは美味い。

本当に美味い。汁を啜った瞬間、美味しすぎて思わず声が出てしまった。

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そのままダッシュで下山し、ホテルに戻ったのは16時頃。雪がちらつき始めていたので、降る前に戻れて良かった。

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夜はもちろんダルバート。段々値段が上がっており、800ルピーもするが、おかわり無料には抗えない。

 

明日からはいよいよトロンパス超えに向けて登坂開始。

今日の高度順応が吉と出るか凶と出るか。

願わくば、誰も高山病にならずに超えたいものです。

 

 

【ネパール山岳自転車釣り旅】④ザ・デイ

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timang - manang

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小鳥の囀りで目を覚ますと、昨日の雨雲は姿を消し、青空を取り戻していた。

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昨日は全く気づかなかったけど、すでに僕達はヒマラヤ山脈の懐に入り込んでいたようだ。

地図を見ると、なんと見えている山が全て5000mを超えている。

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日の出る方向にはマナスルが鎮座していた。

改めて考えると、凄い場所に来たもんだ。

 

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景気良く集合写真を撮ってもらい、出発。

 

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雨の日は雨の日しか見えない景色がある、とよく言うが、僕にはまだそこまでの境地には至れていない。なんなら晴れに勝るものはない、とすら思っている。毎日晴れてほしい。

 

強いて言えば、雨で空気中のチリや埃を流してくれるので、次の日の風景がすごぶる良くなるのは有難いのだが。

 

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今日のルートは、控えめに言っても素晴らしいものだった。

マナスルを始めに、道を進むにつれてアンナプルナ Ⅱ〜Ⅳ峰、カンググルⅠ、ガンナプルナ峰が顔を出してくれた。

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道も心なしかこれまでより綺麗になり、アップダウンも減った。昨日までの道に比べたら、こんなん楽勝サイクリングですよ。

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自転車旅を続けていると、たまに『この日のために自転車に乗ってきたんだ…』となる日がある。いわゆるザ・デイというやつだ。

サーフィンで波にうまく乗れた時、一面ノートラックのパウダーを滑る時、思い通りに魚が釣れる時。色んなアウトドアスポーツをする中で、やってて良かった…!と思えるご褒美みたいな日が、たまーにある。

 

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今日はまさにザ・デイであった。本当に気持ちが良い。

 

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昼ごはんはlower pisangに寄り、トゥクパを頂いた。カレー続きだったので、暖かい麺料理はお腹に有難い。

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昼ご飯後、軽い峠を経て河岸段丘の上に登ると、ついにアンナプルナ I峰が現れた。標高8091mで、アンナプルナ山郡の中で最も高く険しい山。まるでラスボスの如くどっしりと佇んでいる。

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なんて美しいのだろう。

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しかし、この頃から僕は標高により空気の薄さからか、疲労からか、ぼーっとし始めていた。

天気も良い、景色も良い、道も良い…そんな最高の状態ではあるが、頭が動いていない僕の口から飛び出る言葉は『ヤバい』の一言だけである。

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ヤバい、ヤバいと呪文のように唱えながら、夕方ようやくmanangの街へ。

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かなり腹が減っていたので、ショーウィンドウにあるパンに導かれるようにホテルにチェックイン。すぐにパンにかぶりつき、貪るように食べてしまった。空気が薄い分、普段よりエネルギーを多く消費するようだ。

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少し早くに着けたので、自転車と服を洗浄。

泥だらけの自転車もなんて事でしょう。

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細かい砂は取れないが、ギアのジャリ感はかなり無くなった。

 

マナンの街を散歩したあと、今日はダルバートではなくパスタを注文。だんだんと連日カレーは辛くなってきた。

1200ルピー(1200円)もする超高級料理だけど、疲れた体にはかなり沁みた。この時も、出てくる言葉は『ヤバい』だけである。

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【ネパール山岳自転車釣り旅】②洗礼

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bulbule - timang

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昨日はどうやら9時過ぎには眠りについていたらしい。車移動がほとんどとはいえ疲れは溜まっていたらしく、電気もつけっぱなしで爆睡してしまったようで、なんだか瞼が重い。

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そんなだるさを吹き飛ばすべく、朝ごはんにはチョウミン(焼きそば)を食べた。意外と日本のソース焼きそばに近い味で馴染みがある。

 

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美しい朝。

宿を出てからは天気も良く、景色も良好だ。

これならマナスルやアンナプルナ二峰まで見ることができるかもしれない、と期待に胸を躍らせながらの走りだしとなったが…

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この区間はとにかく登りが多い。

川沿いに上がってくのだけど、もとは断崖絶壁に作られた道なのでアップダウンがかなり激しい。

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さらに、土砂崩れも多いので各所で工事をやっている。工事をしているもんだから、トラックや修理用車両もガンガン通る。その度、人権のない我々サイクリストは壁際を舐めるかのように走らなくてはならない。

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体も自転車もすぐヌッタヌタのドロドロになる。景色は良いのでまだ我慢できるのだけど。

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谷の中にはいくつか集落があり、辛うじて人が住んでいるよう。時々興味津々な子供達が家から飛び出して来て、自転車の周りを走り回る。

 

周りが山で囲まれている中、限られた娯楽のうちの一つがこうした観光客との短い関わりだと思うと邪険にはしたくない。

しかし、そう思ってペダルを止めると、バックからはみ出たお菓子に手を伸ばす不埒な輩もいるので油断できない。

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一つ、大きな峠を越えるとtalの街が見えた。

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街には降りずに道路沿いのレストランで昼食を取った。頼むのは定番定食のダルバート。おかわり無料で、食べ終わるとおかわりいるか?と聞かれる。サイクリストたるもの、来る食物を断るべからずと思っているのだけど、一回のおかわりで腹パンになった。恐るべしダルバート。

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そうこうしているうちに、天気はなんと下り坂に。みるみるうちに空は暗くなり、雨は降り始め、雷は鳴る。

 

こんな時に走りたくはないが、明日からの工程を考えると走らざるを得ない。もっと有給を申請しておくべきだったと後悔が止まらない。

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もともとcharmeまで行くつもりだったが、少し短くしてtimangで止まることに。

 

とはいえ、timang前には傾斜がとんでもない峠がある。それもグラベル。ただでさえ滑るのに、雨だとさらに滑って体力を消耗する。

それまでの登りでかなり体力が削られたあとなので、なかなか来るものがある。

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脳裏によぎるのは、普段の仕事でミスをした時や、量産で問題が発生した時。あれよりきついだろうか?

 

…いいや、キツくない。あの心臓がギュッと握りしめられるようなプレッシャーと比べれば、こんな登りはへでもない。

しかし、メンタル的にキツくないのだが、足が攣りそう。普段の運動不足が露呈している。やっぱり、仕事をしている時より今の方がきついかもしれない。

 

そんなことを思いながら歯を食いしばって登っていると、突如どこからか犬がやってきた。

彼は僕を導くように前を走り続け、しばらく並走した。

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僕が遅れると戻ってきて、潤んだ瞳で心配そうに見つめてくる。かつてチリを一緒に旅した犬、ツナのようだった。

愛称として、モモと勝手に呼ぶことに。

 

滑る泥に車輪を取られながら、モモと共に峠の頂上へ。

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登り切った時、雨はさらに強くなり、気温は5℃だった。寒さでぶるぶる震えながらtimangの街へ入った。

 

ホテルはいくつか満室だったが、しっかりホットシャワーとwifiがある宿を見つけることができたのだが…

 

オーナーのお姉さんはモモを見ると血相を変えて怒鳴りつける。この国では、野良犬は乱雑に扱われる存在なのだろうか。

遂には、なかなかどかないモモに対して棒で叩く羽目に。モモはクーンと鳴いて、どこかに去ってしまった。

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しかし、モモには悪いが僕たちはこの宿に泊まることにした。暖かいシャワーとwifiの魅力には逆らえない。

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せめてもの償いで、夜ご飯にはモモをオーダーした。

そう、モモとは蒸し餃子のような見た目で、肉汁がジューシーで食べているとつい笑みが溢れてしまうような食べ物の名前だ。なんだか響きが可愛いので犬の名前にもしてしまった。

 

モモも、どこかで美味しい食べ物にありつけていることを祈り、今日も就寝。外はしとしと雨が降り続けている。