飯とカメラとアウトドア 

家にいるとソワソワする。外に出ると家が恋しくなる。何をしていても落ち着かない、社会人のブログ。

BSC(ベーシックセイフティキャンプ)雪崩講習の学び

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時はたち冬になり、JAN(日本雪崩ネットワーク)の主催する雪崩講習会、ベーシックセイフティキャンプ(通称BSC)に参加してきました。

 

雪崩講習会とは名前の通り、雪崩について学び、雪崩を回避するための勉強会です。

僕はほんの少しだけバックカントリースノーボードをするのですが、いまいち知識がなく、斜面を見ても『凄い気持ちよさそう、早く滑りたい』以外の感想がありませんでした。

 

実を言うと、かれこれ5.6年ほどこの状態で山に入っており、ガイドツアーなどでアバランチギアの使い方は分かっているものの、山に対しての解像度が低いまま気持ちよくなっていました。

 

最近結婚したことを機に、なんとなくの感覚はとても恐ろしい事なのではないか?と急に怖くなり、今回受講した次第です。が、今回の講習はそんな僕みたいなパウダーゴリラさん向けにとてもお勧めしたい内容だったので、(僕の備忘録としても)文章にまとめておきます。

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基本的な概念

雪崩に絶対はない。

どんなに雪崩危険地帯でも雪崩ないこともあるし、安全日と言われても崩れることはある。

 

とはいえ、そんな事は分かってるのでどうすれば良いかと言うと、雪崩に遭うリスクを下げる努力をする必要がある。

 

雪崩のリスクとは地形×人の行動×積雪条件の数式で表せる。このリスクをできる限り減らす事で、雪崩に遭う可能性を下げることができる。

 

◯ではどうするべきか?

積雪条件については、正直に言うと非常に予測が困難である。全体の傾向は掴めても、一つの斜面内で無数の条件が存在する。

 

地形の把握人の行動、僕がまず覚えるべきはこの二つ。この二つを意識に染み込ませる。

 

地形の把握とは、どこで雪崩が発生しやすいか(発生区)を中心に考える。発生しやすいのは斜度(30-45°)、地形(凸状)が関係し、地形の罠がある事で深刻化する。上記3点を踏まえ、避けるべき場所を把握する。

 

人の行動とは、避けるべきとはいってもBCに行く上で危険地帯を通らないというのは稀なので、危険地帯に晒される時間と人数をコントロールする。例えば滑る際に一人ずつ滑る、や雪崩地形の下を通る際は15mほど間隔を空けて素早く通る、等。

 

次に、滑る前までにやっておく事だ。

上記した地形×人の行動×積雪条件は雪崩に遭わない為のジグソーパズルみたいなもので、そのピースを集めておく必要がある。

 

集める内容は以下の通り。

上から順に、優先度が高い。

①直接証拠

②積雪データ

③気象データ

 

実際の動きとしては、①入山前 ②入山中 ③入山後 の3つに分かれると思う。

 

入山前

これまで僕は積雪情報だけを見て、どこが良いか、という判断をしていた。今後は以下の情報を集めるようと思う。

②積雪データ③気象データ(過去〜現在〜予報)を見て、積層のイメージを作る。

雪の掲示日本雪崩ネットワーク

:積雪層を見る

マウンテンフォーキャスト:これまでとこれからの気象の傾向を見る

JAN雪崩情報:総括的に雪崩危険度を見る

 

ルート:国土地理院の地形図の傾斜表を使い、雪崩が起きそうな地形を把握する。

 

入山中

①直接証拠 を集める。

直接証拠とは、自分が見た一次情報のことで、気にするべき点は以下。

・雪崩が起きていないか?(標高と、どの向きで、どの斜度で、どんな種類で、どんな要因で)

・雪の様子はどうか?(フットペン、プローブ観測、スキーカットで予想通りの積雪になっているかどうか)

・風の状況はどうか?(雪庇や風紋、雪煙によってウインドスラブの形成状況を予想)

 

入山後

・雪の様子を記録(雪崩があったとしたら、どんな雪崩が、5W 1Hで起きるかを想像)

・雪崩目撃or誘発があれば、#nadare2024 で投稿

 

最後に

これは僕が後から読んでも思い返せる様にわざと簡略化して書いている。ので、BSCではもっとしっかりした内容を習うので安心してほしい。実際、ピットチェックや複数人(ビーコン無し含む)埋没の捜索を実際の山で行うし、みっちりと2日間座学と演習で勉強漬けになる。

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とはいえ、BSCに参加したから何かができる様になったわけではない。学んだことを体に染み込ませる為に、日頃から試行錯誤して、雪山に通い答え合わせをしなくてはならない。(僕はそもそも試行回数が少ない)

そして大事な事は、雪崩に絶対はないということ。

 

僕達はとんでもなく危険で野蛮で愚かな遊びをしている。しかし、その末に当てた優勝確実なガンギマリパウダーは、メモリアルなライディングになりそれこそ何十年経っても色褪せない素晴らしい人生の記憶の一つになると思うのだ。

 

もっと気になった方はこちらへ。ぜひ、雪山でお会いしましょう。

日本雪崩ネットワーク