飯とカメラとアウトドア 

家にいるとソワソワする。外に出ると家が恋しくなる。何をしていても落ち着かない、社会人のブログ。

旅情報: アウストラル街道 世界一の林道

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未舗装でなおかつ急なアップダウンがあるものの、その景観と、手付かずの大自然が自転車乗りを魅了し、いつしか世界一の林道と呼ばれるようになったアウストラル街道。

 

勿論これまで数多のサイクリストが通っているため、情報は沢山あるのですが、過去のよりは最新の情報を。ということでまとめておきます。

 

*2018年3月1日現在、Villa Santa Lucia の土砂崩れは解消され、昼間のみ通れるようになっています。そのため、チャイテンまでフェリーで行き、その後自転車で走るルートを採用。

 

期間 :3/2 〜3/24 (22日間) 

 

【ルート】

 

:プエルトモント 〜 チャイテン (フェリー)

チャイテン 〜 オイギンス 自転車

オイギンス 〜 エルチャルテン フェリー & 自転車

 

アウストラルの始発点プエルトモントからはフェリーが出ており、チャイテンからスタートする事ができる。自転車で走ることもでき、チロエ島を通ってフェリーでチャイテンに来るチャリダーも多い。その場合、3〜5日ほど更にかかる。

チャイテンからはルート7に従って南下すれば良い。1日の走行距離は50〜80キロくらい。

オイギンスからはアルゼンチン側のエルチャルテンまでフェリーとトレッキングルートを通ることになる。この国境越えが壮絶であり、出来れば避けたいところではあるけど、オイギンス手前の景色がかなり良いのでチャリダーなら最後まで見て廻る事をお勧めします。

一応、セロカステージョ 、コイアイケ、コクランからアルゼンチン側に抜ける事ができ、40号線で南下することも可能。そっちはそっちで景色が綺麗らしい。

 

【自転車屋状況】

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コイアイケ、コクラン、オイギンスに自転車用品を売っているショップがあります。品揃えはまちまちで、コクランのはブレーキシューやワイヤー等の消耗品だけでした。他は知らないけど、割と品揃えは良いらしい。

セロカステージョ 以降未舗装になりブレーキシューの減りが尋常じゃないレベルになるので換えのシューはほぼ必須であると思う。

他に、オルトリーブやキャリアのネジがかなり飛ぶので換えのネジ、チューブ、心配ならタイヤもあった方が良い。僕はペルーから走ってきた後輪のタイヤがバーストしました。

 

【舗装状況】

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世界一の林道と聞いていたのでてっきり全面未舗装かと思っていたのだけど、走行した1000キロのうち、600キロはアスファルト舗装されていた。区間で言うとチャイテン〜セロカステージョ まで。思ったよりアスファルト舗装は進んでおり、このままのペースで行くと三年後にはオイギンスまで舗装されてるのではないかと思う。

 

【食料補給】

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補給地点は南へ行けば行くほど少なくなるので食料の買い出しは計画的に。といっても地図に名前が乗るような村には商店の一つか二つは必ずあります。値段は南へ行くほど高くなっていく。

コイアイケ、コクランには大型のスーパーがあり、買い溜めするならおすすめ。基本的に4〜5日分の食料を携帯し、途中に寄った村でパンやクッキー等の補給食を補充するスタイルで走っていた。

無補給最長区間はコクラン〜オイギンスの230キロ。水は川から汲んでそのまま飲めるが、雨の降ったあとだと水に泥が混じり茶色くなるので雨が降る前、できれば曇りか晴れを一日挟んだ後がベスト。まぁ茶色くても飲めるんだけど。

 

【天候】

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雨が非常に多い。凄い多い。ムカつくくらい多い。1日のどこかではほぼ確実に小雨が降り、間違いなく3日に一回はまとまった雨が降ります。晴れ男、晴れ女を連れて行きましょう。

 

気温に関しては、昼間は半袖短パンかもしくは長袖、雨が降れば上下の雨具を着る程度で問題なかった。放射冷却や標高が高い場所でのみ、雨具の下に防寒具を着用したくらい。水濡れ以外で寒いと感じたことはあまりなかったですが、夜は零度前後まで冷えていました。まぁテントに入れば問題なし。

 

【宿情報】

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基本的には野宿、たまにキャンプ場、村で休みたい時はホテルかカバナを取っていた。

野宿場所は林の中、川沿い、草原等選り取り見取りで夕方頃ふらっと走りながら物色していれば適当な場所を見つける事ができる。治安もすこぶる良く、熊やコヨーテなど危険な動物もいないし、雨が降っていなければ焚き火をして思う存分キャンプ生活を楽しむ事ができる。

 

キャンプ場は村の周囲20キロくらいに存在する事が多く、値段は5000ペソくらい(約900円)

オススメはコイアイケ手前40キロの川沿いのキャンプ場、エル・ブランコの村はずれにあるキャンプ場が良かった。とにかく雨が多いので、野宿するにせよキャンプするにせよ、木や岩で風と雨除けができるところでテントを張るのが吉です。

 

ホテルに関しては、僕は四人で行動していたのでカバナ(貸切ロッジ)を取る事が多かった。値段は一人12500ペソ〜15000ペソ(約2000〜2500円)程。一般的にホテルが一泊10000ペソを下らないので、人数が多いならカバナの方が快適に過ごせると思う。主に大雨が連続した日のシェルターとして使っており、テントや洗濯物を一気に干せるのでおすすめ。

 

たまに走っていると道の横に廃屋のような建物があるのを見かける事があるが、その多くが実はチャリダーの避難所となっている。勿論私有地なので人が住んでいるのか、住んでいる痕跡はあるかどうか見極める必要があるが、使われていない小屋であれば休憩、宿泊時大いに役立った。自己責任でどうぞ。

 

【観光ポイント】

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基本的には走っているだけで天気が良ければめちゃくちゃ綺麗な景色が見れます。天気が良ければ。

一応観光ポイントで言うと、プユアピの後の氷河、セロカステージョ トレッキング、リオトランキーロのマーブルカテドラル、オイギンスからフェリーで行く氷河ツアーが挙げられる。

天気と日程の関係上僕が行ったのはマーブルカテドラルだけだけどまぁ、行って損はないかな、といった感じ。そもそもアウストラルは一つの観光を楽しむような場所ではなく、ここを通る事が既にチャリダー、バイカーにとっては観光のようなものだと感じた。

 

景色に関しては、セロカステージョ を境に段違いに良くなる。僕の好きなポイントはリオトランキーロ周辺とオイギンス村の手前。時間がない人はコイアイケまで飛行機で飛んでそこからエルチャルテンまで走行、というルートでも存分にアウストラルを楽しむ事ができると思う。

 

【最後に】

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僕達は日程に余裕がなく、チャルテンからオイギンスまで20日間で走るという強行ルートで行ったが、かなり楽しむ事ができた。毎日大自然と大いに戯れる事が出来、天気が良い日はキャンプ生活全ての至福が詰まっていると言っても過言ではない、贅沢な時間を過ごせた。

驚く事に、バックパッカーの人も多く、バスやヒッチハイクで村と村を行き交っていた。トレッキングルートも多いし、物価が高い事を気にしなければ自転車やバイクじゃなくても楽しめるのだと思う。

 

少し気がかりなのは、やっぱり日程がカツカツだったのでここの村良いな、と思った時に連泊出来なかったこと。後は、晴れた湖で釣りをしながらぼーっとしたり、景色の良いところでひたすらたそがれる、なんて事も出来なかった事はちょっと残念だったかな。でもそのくらいで、他に特に気になるような事はなく、今でもやっぱり楽しかったな、と思えるステキな場所です。

day.227 May the wind be with you !!

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- Onaishin 

 

深夜遅くまでフェリー待ちのトラックや車が長蛇の列を作っている横で、ぐーすかと気持ちよく寝れるレベルには野宿スキルが戻ってきました。おはようございますやしまるです。

 

そんな列も朝にはほぼ無くなっていたのでもしかしたらフェリーは結構遅くまで運行しているのかもしれません。そんな一人ぼっちの朝、まずはご飯を作ります。

 

最近ハマっているのが、このスープパスタ!

パスタを茹でて、そのままそこにコンソメと粉ミルクをぶち込むだけなんですが、パスタの茹で汁がいいとろみを出し、ありえん美味い。

しかもパスタでネックな茹で汁も水分として補給できるし、掃除も簡単。おススメです!

 

 

インフォメーションでwifiと電源を使わせてもらい、しっかり準備した上で、よし、今日も行くか〜!

 

と道路に出たら後輪がパンクしている事に気づき、直してたら結局11時過ぎに。まぁこんな日もある…

 

 
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海を跨いだことで景色に変化が出ると思ったんですがそんな事は一切なく、目の前にはお馴染みのパンパが広がる。

 
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そして風は強い。パタゴニアは今日も元気です。

 
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本日のルートは南西に向かう道。風は西から吹いているので、横風+向かい風といったところ。

勿論昨日よりは風の勢いは落ちているけど、それでも今の時期あの冷風を横から受け続けるのは体力を大幅に削られる。

そしてそういう時に限って雨も降る。


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完全に消耗戦といった感じで、身も心も擦り減らしながら進んでいきました。

 

 


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途中、羊の大群に出くわす。

草の中にぼこぼこした塊あるなぁと思ってたの、全部羊でした。

一応柵があったので飼われているのだと思うのだけど、この数を管理しきれるのでしょうか……

 
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結局この日は日暮れまで走る事に。

途中、ギリギリ泊まれそうな避難所はいくつかあったのですが、今日は行きたい所がありました。

 
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それがここ、オナイシンの交差点にあるバス停!

今まで数々のチャリダーが泊まっており、中には感謝の落書きがびっしり。

ここのことはこれまであったチャリダーに教えてもらっていたのでどうしても来てみたかったのです。

 
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当然、ここで宿泊!

雨風凌げるのは本当にありがたい。

2日連続で風にボコボコにされているので脚がかなりしんどくなってきました。こんな日に飲む酒は美味いぜ。

 

そんな中、寝る前にふと目に付いた文字。

 
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『May the wind be with you ! 』

『風のご加護がありますように!』

思わずふふっと笑ってしまいました。良い言葉だ。

明日は風のご加護があると良いなぁ。

 

走行距離130キロ

合計距離12110キロ

 

 

 

day.226 かぜ と たたかう !

- Punta Espora

 

部屋の中で雨風におびえることのない夜を過ごし、濡れたものも全て乾き昨日失ったものを全て取り戻しました。おはようございますやしまるです。

 

朝国境警備の人にお礼を言いに行くと、 更にコーヒーをご馳走になり、結局何から何まで至れり尽くせりでした。しかも、『ここは初めてか?ハハハ、チリにようこそ!!』といたって陽気。チリってほんとに良い国ですわ。

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最後に写真を撮る。ありがとうございました!!

 

外に出ると昨日あんなにどんよりしてた雲が全て吹き飛ばされ、快晴。そして、、、、

 

50km/hの向かい風。

すっかり忘れてましたこいつの存在を。

昨日走ったおかげでだいぶ短くなったものの、向かい風区間はあと30キロほど続いてるんですよねー、、、

今日もテンションは低めでスタート。

 
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僕はこれまでパタゴニアの強風というのは日本で言う台風とか春一番とかそのくらいに考えてたんですが、そんなチャチなもんじゃぁ断じてなかった。

 

天災とか、大災害とか、その類のレベル。これは大げさに言ってる訳ではなく事実を述べています。

そんな風の中当然自転車には乗れず、押すしかないんですが、押せない。

正しく言うと押しているのにじりじりと後ろに押し返される。

凄いですよ、まだまだピチピチの23歳が本気で体重をかけて自転車を押しているのに、ビクともしないんです。

まるでオブジェか標識のようにその場に留まり続ける。これが精一杯。なんすかこの罰ゲーム。

 

ようやく風が弱まった所でグイグイ進み、体が前のめりになったところで急激に風が吹き、今度は後ろにべしゃんとなぎ倒される。今日だけで何回この冷たい大地に投げ出された事か…こんなの初めて!!きええええええ!!!(´Д` )

 

そんな戦い(ほぼ敗北)を繰り返すこと一時間半、ようやく一つ目のバス停に辿り着く。

 
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チリの良いところって、こういう避難所的なバス停が10キロおきにあることなんですよね。チャリダーにとって死活問題レベルのシェルターがちゃんと用意されている。

しかも屋根、壁ともにしっかりと作られておりゴミ箱も完備。なかも綺麗。やっぱりチリ好きですわー。

 

ここに着いたのはまだ11時だったんですが、正直今日はここに泊まっても良いと思えるくらい。というか外に出たくない。あの風の中これ以上進むのは得策ではない。

それに、無理をすると負担が溜まっている膝にあまりよろしくない。普段から痛む訳ではないんですが、長い坂道や向かい風があると、最近痛みを感じるようになりました。

 

 

でも、走らないと進まないんですよね。凄い当たり前だけど、それが事実で。幸いなことに、10キロ先にもまたバス停があるし、今日はまだ時間もあるし、ゆっくりでも良いから進もう、もしどうしてもダメならヒッチハイクしようと自分を励ます。いつだって自分を奮いおこすのは自分だ。持ってくれよオラの膝…!!

 
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また風の中進み続ける。

今度は地面に転がされないように、低重心で、なおかつ風に対して平行に進む。車通りが少なかったので後ろを気にせず進めたのが良かったです。

 
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そして二つ目のバス停。

転がり込むように中へ入り、お菓子をバリバリ食べる。ほんと、このバス停無かったら休憩もろくに出来ないし大変でした。このバス停までは三時間押し続け、それでようやく13キロほど。

 

地図を見ると、もう10キロ先にまたバス停があり、そこから南へと曲がっていくことが分かりました。とりあえず、もう10キロ進めば何とかなるかもしれない…!

 

そうして3度目のチャレンジ。

ぶっちゃけここまでくると風の対処が分かってきて、自転車にも乗れるレベルになってきました。勿論登りは押すけど、最初よりは格段に早くなり、案外一時間ほどでクリア。

 
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やっぱりバス停はこの形をしていた。安心と信頼ですね。

 

そしてここからは僕のターン!!西に進んで向かい風だったのが南に方向転換する事で横風となる。横風はそれはそれで走りにくいけど、向かい風に比べたら断然進むし、何より自転車には乗れる。今までの分を取り返すように走り続け、夕方にはフェリー乗り場へ!!

 
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ここで僕にとっては初めての大西洋とのご対面。特に感動はしないけど、ここまで来たんだなぁとじんわり感じるものはありました。

 
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てっきりこの風の影響でフェリーは欠航していると思ってたんですが、流石パタゴニアの大地を結ぶ船、波を乗り越えて元気に運行していました。着いたのも束の間、そのままフェリーに乗って対岸へ。ちなみにチャリダーは無料みたいです。

 
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30分後、対岸のフェリー付き場に。ここはもう南米大陸ではなく、最終ステージのフエゴ島

ウシュアイアはこのフエゴ島の南端にあるので、正確にいえば"大陸"の最南端ではないんですよね。まぁどうでも良いんですが。

 
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今日は疲れたのでそのままフェリー付き場近くのインフォメーションセンター脇にテントを貼らせてもらうことに。このインフォメーション、トイレ、wifiに加え僕は使っていませんがシャワーも付いている完璧仕様。営業時間も8:00〜21:00と丁度良い。となりに商店もあり、余ったチリパソを使い切ることもできました。

 

なんだか疲れた1日でしたが、達成感があります。僕はパタゴニアの風に立ち向かったのだ!半分以上自転車押してたけど……

 

走行距離55キロ

合計距離11980キロ

 

day.225 チリの素敵なおもてなし

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Rio Gallegos - Gendarmeria

 

【本日のキャンプ場へのクレームのコーナー】

全く酷い目にあった。

キャンプ場にサッカー場や遊具が併設されてるのは良いとして、テントサイトの横にダンスクラブを建てるのは流石に頭悪すぎないですか!

 

お陰で朝5時までドゥン♪ドゥン♪と軽快な音楽と人々の嬉々とした声が僕のテントの中に響き渡っていました。いやいやいや立地ミスでしょ!ドゥン♪ドゥン♪じゃねーよと。あれか、キャンプしながら踊りたくなったら踊れますよ的なアレなのか、いやでも朝5時までは暴力的過ぎるでしょう。

まぁ要するに寝れませんでした。無理っすよ無理!たまに酔った客がテントに体当たりしてくるし。

以上、不平不満のコーナーでした。

 

 

そんな夜を過ごし、今日はどうするかな〜と思って天気予報を調べると、今日は一日中雨。

寝不足で眠いし、雨ならホテルに逃げ込んで惰眠を貪ってやろうと心に決め…かけた。決めかけて、明日の天気を見ると晴れ。そして、なんと風速50km/hの向かい風…!

まじすか。

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今日は追い風気味の風が吹いており、雨を我慢すればアルゼンチンとチリの国境を越える事ができそう。

逆に、今日惰眠して明日走ると、天気は良いけど暴風に真っ向から立ち向かわなくてはなりません。

 

正直なところ、眠いしYouTube見たいしゴロゴロしたいし雨の中走りたくないし一日くらい休んだって日程的には問題ないし…

走る気は全くなかったんですが、雨予報の雨がいつまで経っても降って来ず、追い風があるなら走れる内に走った方が良いぞ…と頭の中の意識高い僕にそそのかされ…

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結局走ります。ええ、走りますとも!!走ればいいんでしょ走れば!!

 

こういう時昔の僕なら絶対走らなかっただろうなぁと思います。面倒くさい性格になったものです。

 

リオガジェゴス からは南西にまっすぐ進む道。一旦チリに入国してフェリーに乗り、最終ステージのフエゴ島へ渡ります。

国境までは70キロ、国境からフェリー乗り場までは50キロほど。この追い風ならフェリー乗り場まで行けちゃうんじゃないかとワクワクしていたのもつかの間、大粒の雨が降ってきた。

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気分が一気に萎える。

さっきまでは霧雨といった具合で雨具が濡れるのと乾くのが拮抗しており中まで染みてくることはなかったんですが、大粒となるとどんどん沁みてくる。しかも雨が降り出すと同時に風向きが変わり、強い横風となって走行を阻んできます。

 

だから走るの嫌だったんだ…!!と思うけど、アルゼンチンには休憩場所やバス停のようなシェルターは基本的にありません。

雨と風が牙を剥いていても、今更僕には逃げ場所はどこにもなくただただもがき続けるしか方法はないのです。

 

手足の感覚が消え、歯をガチガチ鳴らし、背筋に寒いものを感じ始めた頃、ようやく国境へ。

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この頃には雨と風は勢いを増し、と化していた。結果、僕は三時間半ノンストップで走り続け、服はずぶ濡れ、荷物は泥だらけ、寒さで顔面蒼白、我ながら酷い格好でした。

 

チリに陸路で入国するには厳しい荷物チェックを受ける必要があり、基本的に自転車から荷物を全て外し、X線を通さなくてはなりません。そして食べ物(主に野菜や果物、種子類)を検査し、審査に引っかかるものがあればその場で没収されます。これが、食べることが命のチャリダーにとってはなかなか厳しいものです。

 

しかし、ここで奇跡が起きた。

僕の悲惨な格好を見かねてか、事務員の人が暖かい紅茶とお菓子を用意してくれたのです。

その時僕は文字が書けないほど手が震えており、本当に体に沁みました。

 

そして荷物検査をしようとしたところ、

『君の荷物はキャンプ道具だけだよな?』

『あ、いえ、ここに食べ物が入って…』

『いや、君の荷物はキャンプだけなはずだ。つまりスキャンする必要はない、そうだよな?』

『……ウス。』

と荷物は全部お咎めなしにされ、寒いだろうから、とヒーターのある部屋に通され、更にはお腹が減ってるだろうから、とご飯まで頂くことに…!何ですかこの待遇は……!

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しかも、降り止まない雨に対し、『フェリーも出ないだろうから今日はここに泊まっていきな!』と有り難いお言葉まで。

 

そして僕の入国手続きをしてくれた係員の人も来て、『お前ここに泊まるのか!雨で大変だったな!これでも食って元気出せ!』とお菓子を置いていく始末。

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久々にうるっと来ました。齢23歳、心に沁みました。泣かせてくれるじゃない…!!

 

何て言うか、本当にありがとうしか言えないのがもどかしい。スペイン語がもっとできれば上手く伝えることが出来るのだろうけど、ありがとうを何かで伝えることができれば…!

 

そう考えて折り紙の手裏剣をあげたら、思いのほか喜んでくれてよかった。チリでもナルトは有名なんですね。

 

 

自転車旅をしているとこういう風に人に良くしてもらうことが少なからずあります。食べ物を頂いたり、泊めてもらったり、詳しい情報をもらったり…そんな彼らの"おもてなし"に対し、常に謙虚でなくてはなりません。

 

優しさを受け取りはするけど、それに甘んじて人に期待したり、施しを受けて当然のように考えてはいけない。

 

僕はこれまで色んな人々から優しさをいただいてきたけど、その度にしっかりとお礼を言えているだろうか。毎度どうもーとそれが当たり前のようになっていないだろうか。旅の武勇伝のように考えてはいないだろうか。

 

今までも受けてきたおもてなしに対し、こういった機会にもう一度振り返って自分自身を諌めてみようと思います。

いやー、それでも言いたい。ありがとう!ビバチリ!!

 

走行距離70キロ

合計距離11925キロ

day.224 360°何もない世界

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- Rio Gallegos 

 
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ふと光につられて起きると、昨日は雲に隠れていた夕日が朝陽となって登っていました。昨日は夕方からテントにこもっていたので気がつけば暗くなっていて、そして気づけば寝ていました。

 
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朝日に照らされながら朝ごはんの準備をする。

そういえば、テントの前室でご飯を作ることが多くなりました。これは風を避けるためという意味もありますし、単に気温が下がって外で作りたくなくなってきたというのもあります。冬が近づいてきている。

 

太陽が出れば半袖短パンで走れるんですが、少しでも隠れると雨具の下にセーターを着ないと寒く感じるほどに。

あぁ、ほんとうに季節が変わってきているんですね…

 

走っていると、ふとあることに気がつきました。

あれ……前を見ても、後ろを見ても何もない…

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見渡す限り草原が広がるのみで、その他には人も建物もない。

風もないので自転車を止めるとシーーーーーーン………と静寂が辺りを包む。

 
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まるで世界に自分一人だけがいるような、人類が滅亡した後自分だけが生き残ったかのような、そんな世界。こんなところ、宝石の道以外無いと思っていたのだけれど。

 

このご時世、人を感じることのない場所のほうが、希少であると思う。どんな所も開発が進み、建物が立ち、そして人の居住区となる。人が住めば更に人がやってきて、いつのまに集落から村へ、村から街へどんどん大きくなっていき、しまいには最初の頃の面影は失われていく。

 

ここはそんな世界に数少ない大自然の"安全区"であるわけです。何もないからこそ、素晴らしい。

 

まぁそんな静寂も五分と持たずに後ろから来たトラックに破られたんですが。というかこんな所で黄昏てる場合ではない。またせっせと自転車をこぎ始めました。

 
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リオガジェゴス まで30キロを切ると、道路灯が出てきて、建物も増え始める。なんだか日本の高速道路みたいだと苦笑いしていたら、看板にウシュアイア の文字が!

 
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ようやくここまで来たんだなぁ、とじんわりする。ここまで長かった…先もまだあるけど…

 

リオガジェゴス はかなり大きな街で、超大型スーパーが500m間隔で立っているほど。久しぶりにwifiとシャワーを使いたかったので、今日は街の中のキャンプ場へ。

 
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このキャンプ場がなかなかハイテクで、施設の中にどでかい遊具やサッカー場まである。

 

勿論キャンプもできて、トイレは中にヒーターもありポカポカ。なんとトイレットペーパーも完備!素晴らしい!!

今夜は快適な夜を過ごせそうです。

 

走行距離80キロ

合計距離11855キロ

 

 

day.223 風は気まぐれ世は情け


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El cerrito - 南西130キロ地点

 

夜吹き荒れていた風の音と、一緒に寝ていた猫がよく動くことと、僕のテントの横で骨をボリボリと囓るワンちゃんのおかげで昨日は全然寝れませんでした。おはようございますやしまるです。ああ無情…

 

とはいっても三面壁と屋根に囲まれた空間で一晩過ごせたのは助かりました。作業員の人にお礼を言って、出発。

 
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朝は雨がポツポツ降っており雲行きもめちゃくちゃ悪かったんですが、進むほどになぜか天気は良くなり、昼頃にはこんなに晴れました。本当に天気が読めない。

 
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風も走り出した途端ピタッと止み、ほぼ無風の状態に。まぁ追い風だったのであまり止んで欲しくなかったんですが、方向変わって吹き荒れるなんてことよりはまだマシと考える。

 
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そういえば、これまで40日も4人で行動してたので一人でこの何もないパンパを走ったら寂しさ爆発するんじゃないかと心配していたんですがどうやら杞憂に終わりそう。

走ってる時は自分のペースで行くのが丁度良いし、写真撮ったり水飲んだりもほんとうに自由だし。あまりの違和感の無さに自分でもびっくりしました。僕は一人でうら〜と走ってるのが性に合ってるんですね。

 
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昨日までの起伏あるパンパは終わり、正真正銘真っ平らで何もないパンパが今日の道。

ここまで何もないとは……

 
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三時間走っても景色が変わらないただ一つの平野。PAMPA

まじで走るか歌でも歌うかくらいしかやる事がありません。

 

しかしそれでも130キロ走り、川沿いのキャンプ場に到着。川に反射する木々が無風っぷりを表してます。


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数少ない木も、緑から黄色に確実に変わってきています。季節の変わり目にいることを嫌でも実感させられる。早く夏が完全に終わる前にウシュアイア に着きたいものです。

 

そして今日はここで泊まるかもう少し進むか悩んでいたんですが、、ここでさっきまで無風だったのが一瞬で向かい風に変わる。しかも雨付き。驚くべき早さで嵐になる一帯。

 

キャンプ場には当然屋根はなく、トイレも簡素であまり綺麗ではない…そして風を防ぐ木も心許ない。ということで、

 
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選ばれたのは橋の下でした。

いやー橋の下パイセンパネェっす。

さすがホームレス御用達の場所ですね。

風は完全には防げていないけど、雨をガードできるのは有難いです。ごめんキャンプ場。

 

明日には追い風になってることを祈ります。

というかカラファテからリオガジェゴス までのこの区間、方向的に追い風で2日あれば行けると思ったんですけどね、パタゴニアの風を頼りにするのがそもそも間違いなようです。無念!!

 

走行距離130キロ

合計距離11775キロ

 

 

 

 

day.222 目指す先は世界の果て


El Calafate - El cerrito 

 

自転車も直り、僕の体調も結果的に3日休みだいぶ回復しました。あとは進むだけ!おはようございますやしまるです。

 

朝は予報通り雨がポツポツと降っていたのですが、昼前には上がり、青空が見え始めたのを機に宿から出発。もうこの街とはお別れしたい。というか早く離れないと更に連泊してしまいそうで怖い。

 
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幸い特に何も問題は起きずに進む事が出来ました。

 

目の前に広がるのは広大な平野、パンパ。

チリ海岸沿いに流れる寒流が引き起こす風がアンデス山脈を通る事によって乾燥した強風となり、それが吹き荒れることにより背の高い木が育たず、一面雑草か砂に覆われた不毛の土地

と高校の時教科書で読んだ気がします。

たしかに、当時高校生だった僕が思い浮かべていた景色と全く相違のない情景がここにはあります。

 

でも違う点が一つ。

習った通り、パンパは何もない、そして地平線まで真っ平らな平野だと思っていたんですが、案外登る。。。

 
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なんかやたら登るなぁ、パンパってこんなんだっけ、と思いながら実に一時間ずっと登ってました。まさか坂が8キロも続いているなんて!

 
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あの下の平野に道作ればいいじゃん!と最初は思ってたんですがまぁ景色が良いからいっか。

 
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その後は僕が思っていた通りの平原が広がっていました。しかも、東に向かっているのでかなり強い追い風になる。

 



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昼過ぎに出発したけど、6時前にはカラファテから90キロ地点に到着。ここにはチリのプエルトナタレスとアルゼンチンのリオガジェゴスへ向かう道の分岐があり、ついでに道路整備?の従業員の施設があります。

 

風的にはもう少し行こうかと思ったけど、雨もポツポツきてるし、何よりかわいい猫がいたのでここにテントを貼らせてもらうことに。


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完全に陣取られています。

 

屋根も壁もあり、ポータブルの水まである、素晴らしいシェルターです。

今回は僕だけだけど、シーズンには多い時20人のチャリダーがここに泊まることもあるんだとか。従業員の人も完全に対応慣れてましたし。

 

何にせよ、風と雨を防げるのはとてもありがたいです。ここから先は、風との闘いになる。

世界の果て、ウシュアイア まであと900キロを切りました。さぁラストスパート、気を引き締めていこう!

 

走行距離90キロ

合計距離11645キロ