飯とカメラとアウトドア 

家にいるとソワソワする。外に出ると家が恋しくなる。何をしていても落ち着かない、社会人のブログ。

day.231 燃ゆる山の赤よ、火の赤よ


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- Ushuaia 手前10km

 

同じ部屋に泊まった同い年のバックパッカーカップルに、『君は28歳の中国人かい?』と言われました。…ですよねー…おはようございます28歳の中国人です。

 

 
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昨日の夕方から降っていた雨は今朝には止み、ここ数日で一番の快晴に。ウシュアイアまで気持ちよく走れそうです。

 
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と思いきやなかなかのアップダウン。

ここフエゴ島にもアンデス山脈の最後っ屁のようなものがあり、道は山の斜面をウネウネと這うように進んでいく。

 
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久しぶりのアップダウンですがこの山脈が風を防いでくれるため、パタゴニアの中にありながら唯一の無風地帯でもある。それに風が無いためか、昨日よりもまだ紅葉が多く残っている気がします。

 
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赤、緑、黄色、木によってそれぞれ違う色がごちゃ混ぜになって、紅葉の『紅』の色になる。

そしてその紅がまるで絨毯のように大地に敷き詰められているのです。
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日本では桜が旬を迎えてお花見真っ盛りな時期だけど、地球の裏では紅葉が綺麗でございます!

 


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最期の峠をえいやと超えると、その山脈の全貌が明らかになる。

山の標高は1000mくらいでしょうか。もはや登りも400mくらいしかなく、これの何倍、いや何十倍もの標高を超えてきたのでなんだか寂しい気持ちにもなります。

でも、山を見ると最期の切れ端といえど、稜線は鋭く、頂上には雪を讃える立派な山々が連なっている。

 
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切れ端といってもアンデスアンデスなのだ。

その名に恥じない、最後までカッコ良い山がたっぷりでした。

その姿をしかと目に焼き付けて、峠を下る。

 

 

ウシュアイアまでは、もう20キロを切っており、このペースなら18時には到着できそう。

でも、なんだか心残りがありました。

 

最期、こんなにあっさりと終わっていいのか。

街について、ハイ終わりましたーと終了で満足するのか、僕は。

アメリカ大陸という大きな大きなゴールがこんなものでいいのか……

 

 

納得できない自分に従い、半ば諦めるようにハンドルを横に切る。

 
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良い野宿場所を見つけたのです。

フラットで大きな木の下にテントを張り、ご飯の準備をしながら並行して焚き火の準備。

 

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今日も今日とてスープパスタを食べ、お酒を飲みながら焚き火を眺める。

何か悩んだ時、頭の中がごちゃごちゃした時、こうして焚き火をするとスーッと整理されていくんですよね。。。

 
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明日で、南米を走るのはラストか……

思えば長かった。カナダから来たしなぁ。

自転車だけではないけど、そりゃ聞いてきた人達が目を丸くするだけはある。逆に、カナダにいた時はあまりの途方のない距離に絶望感すら抱いた時もあったっけ。

 

アメリカでは大きすぎる大地と人の器に動揺したし、メキシコではそのフレンドリーさに驚いた。あとタコスの美味さにも。そういえば自転車も盗まれたんだっけ。そんな事もあったなぁ。今となっては笑える話だ。

 

ペルーでは標高と雨に散々悩まされて、毎日逃げるように自転車に乗っていた。チーズフライを頼んだら『ない』と言われ、その後来たおっちゃんがチーズフライを貰っていた時は流石に怒りを覚えた。そんな事もあった。

 

晴れたウユニ塩湖を自転車で縦断していた時は、ほんとうに天国みたいだった。こんな世界が現実に存在するのか全く信じられないくらいだった。そして街で会った人達が面白すぎて、10日も停滞していた。あの時は楽しかったなぁ。

その分、宝石の道はより過酷で壮絶だった。一人で標高4000mの砂漠を進んでいた時は気が狂いそうだった。

 

その後、四人で行ったアウストラル街道は毎日が刺激的だった。何をするにしても、一人の時の数段上をいく楽しさ。あれはあれで良かったけど、そのあと一人でパタゴニアの風に揉まれるのは、辛いけど悪くなかった。

 
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火がパチっと弾けるたびに、これまでの思い出が蘇ってくる。まるで今まで忘れていたかのように、あんな事もあった、こんな人もいたなぁ、と頭の奥底から浮かび上がる。そして、どんな辛かった出来事も今となっては只の思い出に過ぎない。

 

きっと、これから先もこうして焚き火をする度にこの旅の記憶を思い出すんだろうな。

ラジオの声が遠い家を思い出させるように、写真が懐かしい記憶を掘り起こすように、何度も、何度も……

 

 

そんな過去の思い出に浸りながら、夜は粛々と更けていくのでした。

 

走行距離90キロ

合計距離12420キロ