飯とカメラとアウトドア 

家にいるとソワソワする。外に出ると家が恋しくなる。何をしていても落ち着かない、社会人のブログ。

【ニュージーランド自転車釣り旅】 day.5 釣りという病

Poaka湖 - Glentanner

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旅行者の多くが車で移動する為、水に困る事がないからか、もしくは水道設備が環境に与える負荷が高いためか、NZのキャンプ場には水場がないところが多い。

 

僕達の泊まったpoakaキャンプ場も同様で、無料の代わりにトイレ以外の設備が一切ない。

そういった時にどうやって水を確保するかというと、基本的には湖川からの汲み上げになる。しかしそのまま飲めるかというとそうでもない。

NZの自然水には人体に悪影響のある微生物が含まれている可能性があり、日本のエキノコックス同様直接飲むのはリスクがある。

 

微生物を除外するには煮沸か、濾過のどちらかがあるが、今回僕は簡易濾過器のソーヤーミニを持参している。

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ほぼ半永久的に濾過できるのと、何より軽くコンパクトな為、バイクパッキングに適しているのでおすすめ。

寧ろ濾過できるツールがないと、直に飲むには毎回煮沸する必要がある為、ほぼ必須とも言える。

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この濾過器のおかげで半ばどんな水でも飲めるようになった僕は、昨日洗濯、お風呂として入った湖の水を、今日は紅茶を淹れるための水として使用している。

サステナブル云々が世に蔓延るなか、この瞬間だけは、僕が1番エコでサステナブルな生活をしているのではないかと思う。

 

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出発したのはいいが今日の天気は雨。明日晴れ予報のため、マウントクックのトレッキングを明日にずらし、今日は途中のGlentannerのホリデーパークに宿泊する。

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予定をずらしたおかげで時間があまり、pukaki canalで釣りをした。

この運河は昨日のTekapo canal同様、絵の具を溶かしたかのような青緑色の水が流れているのだが、なんと釣りができる。

にわかには信じがたいが、この橋の下はGoogleマップでも有数のポイントと記載があった。

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持ってきた釣り道具はこちら。

シマノのSAHARA 2000HGのリールに、ロッドはトラギアポケビッツ63L。

このロッドは仕舞寸法が脅威の27.5センチで、APIDURAのドライトップチューブバックにすっぽり入り、リールやルアーケースを入れることもできる。

 

ちなみに書いておくと、僕は釣りド初心者で、川で釣りをした事はほとんどない。5年ほど前、アウストラル街道を走っていた時は釣りをしていたが、糸の結び方も適当で、魚は全く釣れなかった。

今回も、練習と称してヤブウチと管理釣り場に一回行ったきりで、その時も3匹くらいしか釣れなかった。

 

そんな僕のキャストたるや散々なものだったが、ニュージーの魚は良い感じに空気を読んでくれ、なんと1匹小さいが釣ることができた。

 

しかし写真を撮られることは嫌だったらしく、魚は早々に川に帰って行ってしまった。

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足元に転がっているのがその魚。恐らく、サケの幼魚だと思われる。

初心者でも釣れるもんだなと士気があがり、意気揚々と雨足が弱くなったタイミングで再出発する。途中サーモンショップに寄り、サーモンの刺身を食べた。刺身を買うと、嬉しいことに醤油とわさびも付いてくる。

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こんな身をしたサーモンを釣りたいものだ。

 

久々の醤油に元気をもらい走っていると、次第に雨が止み、快適な湖畔サイクリングとなった。昨日絶景を見続けてしまい目が慣れているが、この景色でも十分綺麗だ。

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Glentannerは小さい村で、観光用のヘリポートとキャンプ場、カフェしかない。しかし僕達にとってはwifi、シャワー、電源、キッチンのあるキャンプ場というのはもはやそれだけでテーマパークみたいなもので、料金は一人25NZD(約2000円)と高いけど、その価値が十分にある。

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Glentannerキャンプ場からは、歩いて行ける範囲にpukaki湖がある。

午前中に魚が釣れた経験から、湖でも釣れるんじゃないかと安直な期待を胸に、気温15度、ウェーダー無しで立ち込む。勿論とても寒い。

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入ってから5分経つと足の感覚は無くなり始め、手と口は震え、無茶苦茶なフォームはさらに無茶苦茶になっていく。

しかし、ニュージーランドの広大な景色と雨上がりの静かさの中で、黙々と、何も気にせずキャストするのはなかなか気持ち良い。

 

しかも、よく湖面を見ると自分の投げたルアーに、黒い塊が興味津々にチェイスしているのが見える。生まれてからルアーを見たことが無かったのではないだろうか。NZの大自然の懐の深さには感心してしまう。

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それから1時間ほど投げ続けた後だろうか。

 

一度、僕がすっぽ抜けたルアーを回収するために早巻きしていたら、急に引ったくられるような感触があり、恐ろしい勢いで糸が引き出された。

あまりの勢いに倒れかけ、腰まで水に濡れる。

この糸の先に、一体何がいるんだ?

 

その直後、僕のすぐ近くの水面から、丸太のような塊が飛び出してきた。黄色い体に黒い斑点が見えた。大型のブラウントラウトだ。

 

あまりの勢いと、美しさに呆気に取られ、リールを持つ手が緩んだ。その瞬間、針は魚の口から外れ、きらりと一度身を捩ると、そのまま遠くへ泳いでいった。

 

一瞬の出来事で、口が開いたままヤブウチの方を向くと、ヤブウチも同じ顔をしていた。テントに入ってからも、その時の感触を忘れられず、ノットを結び始めたり、ルアーを眺めたりと、しばらくは寝つけなかった。

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それからというものの、自転車に乗っていても、川や湖が目に入ると、行ってもたってもいられなくなるようになった。これがいわゆる釣りキチ病だろうか。僕は厄介な病気に罹ってしまった。とにかく釣りがしたくてしょうがない。僕はこの病気をニュージーランドにいる間、常に発症し続けることになる。