Lumsdenを中心に、南側を攻めた昨日とは打って変わり、マタウラ川北側を狙う。
そろそろ帰国日が迫っており、空港には近づきたいが、釣りはやめられないというわがままっぷりを発揮してしまう。
僕はサラリーマン生活で一体何を学んだのだろうか。
まずはAtholのキャンプ場に荷物を置き、予約を済ませる。このキャンプ場は無人のため、ネット予約ができない。シャワーやトイレはあるため合法的キャンプができるのだが、土日はキャンピングカー勢とのサイト取り合い合戦が勃発する。
絶対にサイトを取りたい僕達は、チェックアウトの10時をすぎた瞬間に予約しに行き、我が物顔で荷物を広げた。
Atholの街にはトラウトカフェなるものがあり、出るメニューは普通のカフェと同じだが、トラウトにまつわる絵が飾られている。
こんな大きくて美しいトラウトを釣りたいものだ。
トラウトカフェで英気を養い、いざマタウラ川へ。
昨日釣れなかった分、今日は釣れるのでは無いか、とパチンコ狂さながらの期待感を持って川へ向かう。
A tholから南に5kmほど走ったところにマタウラ川への分岐があり、そこからは砂利道を走りながらポイントへ向かう。
一つ目のポイントは橋の下で、かなり川幅が広く、流れもそこそこ強い。
何のアタリもなく、躍起になって投げていたらヤブウチが根がかっているのが見えた。
それを見てほくそ笑みながら、自分は釣ってやるぞと投げる。
そんな邪心を見透かされたのか、僕も根がかった。
この場所で撮影したのは魚ではなく、お互いの情けない姿になってしまった。
しかし、次のポイントでヤブウチが小さいブラウンを当てる。
小さすぎて両手に収まるが、アタリがない僕にとってはとても羨ましい。
20センチくらいで、まだ赤ちゃんサイズだが、流れも相まってかなり引く。
容赦なく水面から飛び跳ねるので、バレないよう必死になってしまう。
ポイントを移動。路面自体が悪くないのと、景色も良いので移動は苦じゃない。
3つ目のポイント。
一応今日行ける中では最奥ポイントで、是非ともここで釣りたい。
なんせ帰国日前日、釣りに専念できるのは今日がラストになる。
祈るように投げていると、良い感じに空気を読んでくれたブラウンが釣れてくれた。
このサイズ、本来なら書くまでもないサイズではあるが、自分が釣ったことのない魚というのはどんなに小さくても嬉しい。
満面の笑みである。
お互いにホクホクしながら帰路に着く。
本当に大したサイズも数も釣れていないが、僕達初心者にしたら、釣れただけで非常に嬉しい。ある意味1番幸せなのかもしれない。
Atholのキャンプ場からは、自転車ですぐのところに川が流れており、ここも釣りのポイントになっている。
しかしこの川に向かうには牧場を突っ切る必要があり、今回も例に漏れず牛が立ち塞がっていた。
ここまで何度も牛に阻まれ、泣かされ、撤退を余儀なくされていた僕達。
しかし、釣りに脳内を乗っ取られた人間とは醜いもので、気づけば『おらーーー!』と牛に向かって突進していた。
逃げ惑う牛を横目に、川へ向かう。
入国したばかりの時はビクビクしていた二人が、逞しくなったものだなぁと感心していたら、思いっきり牛のウ○コを踏んだ。
彼らは逃げながらも、しっかり糞尿を垂れ流していく。いつ何時も油断できない、やるかやられるかの間柄なのだ。
ちなみにこんなにも苦労してたどり着いたこの川では、全く釣れなかった。牛の祟りだろうか。
最終日にして、僕達は自転車を牛のウ○コまみれにし、とぼとぼと帰る。
ふと顔を上げると、ニュージーでは珍しい、満天の星とサザンクロスが輝いていた。